ロスト・ボールパーク編

Globe Life Park in Arlington (Arlington, TX)
Turner Field (Atlanta, GA)
Sun Life Stadium (Miami Gardens, FL)
Metrodome (Minneapolis, MN)
Yankee Stadium (Bronx, NY)
Shea Stadium (Flushing, NY)
Robert F. Kennedy Memorial Stadium (Washington, DC)
Busch Stadium (St. Louis, MO)
Olympic Stadium (Montreal, QC)
Qualcomm Stadium (San Diego, CA)
Veterans Stadium (Philadelphia, PA)
Cinergy Field (Cincinnati, OH)
3Com Park (San Francisco, CA)
Astrodome (Houston, TX)
Three Rivers Stadium (Pittsburgh, PA)
Tiger Stadium (Detroit, MI)
Milwaukee County Stadium (Milwaukee, WI)
Kingdome (Seattle, WA)
 

グローブ・ライフ・パーク・イン・アーリントン
テナント:テキサス・レンジャーズ (1994-2019)
所在地:テキサス州アーリントン
開場:1994年
収容人数:48,114人

 1972年にワシントンDCから移転してきたテキサス・レンジャーズの2代目本拠地球場。90年代中盤の一連の新古典主義ムーヴメントのひとつだが意外にもムーヴメントを牽引したHOK社(現ポピュラス社)のデザインではない。シカゴの"Comiskey Park"の外観や"Fenway Park"の手動式スコアボード&グリーン・モンスター、"Tiger Stadium"の外野スタンドへのオマージュであるライトのホームランポーチなど、オールド・スタジアムのテイストがいろいろ取り入れられている。だだっぴろい荒野にど〜んと鎮座している球場の外観は重厚で中世の城か要塞のような佇まい。既存のマイナーリーグの球場をツギハギして大きくした旧球場"Arlington Stadium"とは隔世の感がある。ちなみにファウルポールは旧球場のものを持って来て使用している。
 四方を全てスタンドに囲まれているので独特の閉塞感と狭さを感じる。センターにあるマンションのようなスイートルームがなければ景色が見えて球場に広がりが見えたと思うが今更言っても仕方ない。また、夏場はナイトゲームでも尋常じゃないほど気温が上がるため客足は伸びず、選手(特にピッチャー)もバテバテになり有力なFA選手は来たがらないとゆぅ問題を抱えていた。球場内にはレンジャーズ版の殿堂博物館が併設されており、ノーラン・ライアンらに混じって当時はまだ現役だったイバン・ロドリゲスやケヴィン・ブラウン、ホアン・ゴンザレスらのメモラビリアまでもが展示されていた。開場当時は"The Ballpark in Arlington"というヘタウマっぽいインパクトのある名前だったが、2004年からネーミング・スポンサーがついて"Ameriquest Field in Arlington"に。しかしアメリクエスト社の業績不振で早々と契約が破棄され、2007年から再び"Ballpark"の名が復活して"Rangers Ballpark in Arlington"に。しかししかし2014年から地元の保険会社がネーミング・スポンサーになり、またしても伝統の"Ballpark"表記が消えてしまった。
 2009年にNFLカウボーイズの開閉式屋根付きスタジアム(AT&T Stadium)がオープンしたことで球場近くに飲食店や生演奏を聞かせるバーができ、アフターゲームを楽しむファンで界隈がだいぶ活気付いている。その流れに乗ってレンジャーズも開閉式の屋根をつけた新球場"Globe Life Field"を2020年にオープンさせ、この球場は2020年以降はサッカー場として余生を送ることになった。レンジャーズのホームとしてはたった26シーズンでお払い箱となった。
行き方:アーリントンはダラスとフォート・ワースの中間にある町。大学もある大きな町だがアーリントンには公共の交通機関が存在しない。以前は球場から徒歩圏内にグレイハウンドのバスディーポがあったのだがいつの間にか廃止されていた。球場の最寄りの公共交通機関はダラスとフォートワースを結ぶTrinity Railway Express という鉄道のCenterPort/DFW Airpot駅(ダラス・フォートワース国際空港から駅までシャトルバス有り)。そこから球場までウーバーで20分20-25ドルくらい。AT&T Stadium の南西、Division St. と Collins St. の交差点辺りにはお手頃なモーテルが何軒かあるのでそこを拠点に球場まで歩いて30分ほど。
観戦したゲーム(7):
1998.08.19 Rangers vs. Indians
1998.08.20 Rangers vs. Indians
1999.04.02 Rangers vs. Astros・・・エキシビション・ゲーム(オープン戦)
1999.04.05 Rangers vs. Tigers (Season Opener)・・・DETのマサオ・キダ、リリーバーとしてMLBデビュー
2019.06.07 Rangers vs. Athletics
2019.06.08 Rangers vs. Athletics・・・入替制ダブルヘッダー第1試合
2019.06.08 Rangers vs. Athletics・・・入替制ダブルヘッダー第2試合、エイドリアン・ベルトレイの#29永久欠番セレモニー

ターナー・フィールド
テナント:アトランタ・ブレーヴス (1997-2016)
所在地:ジョージア州アトランタ
開場:1997年
収容人数:49,586人

photo by 球場巡礼

 ブレーヴス第5代目の本拠地球場。元は1996年に行われたアトランタ五輪のメイン・スタジアムだったが当初からオリンピックが終わればブレーヴスの新球場として再利用するつもりで設計されていた。スコアボードの裏がメインゲートになっているのだが、ゲート周辺が半楕円形の広場になっていて、その辺りに楕円形の陸上競技場だった名残りがうかがえる。球場名はニュース専用チャンネルCNNの創始者にして元球団オーナーのテッド・ターナー氏にちなむ。
 一見レトロ・クラシック調だが実はそれほど過剰に意識しているようでもなく、いわば昔からの球場に関するノウハウを全て凝縮した近代ボールパークの完成型にして決定版であると言える。グランドスタンドは3層からなっており、3層目のレフト側には巨大なコカコーラの瓶のオブジェが置いてあるSky Fieldなる立ち見スペースがある。スタンドは圧倒的に巨大だが、どう言うわけかどこに座ってもフィールドが近く感じる。理論的にそうなるハズはないが実際そう感じてしまう設計になっているのだから恐れ入る。シンプルなフィールド、遊び心のあるスタンド、座席の心地よさ、コンコースの広さ、入場ゲート周辺のスペースの豊富さ、荘厳な外観、試合開始2時間半前から売り出される1jのチケット、そして場内に響き渡るトマホーク・チョップのあの音楽、どれをとっても全くケチのつけようがない。さらに試合終了後にはレイ・チャールズの"Georgia On My Mind"が流れ何故かちょいとホロリとさせてくれる。
 ちなみに、隣接していた旧本拠地の"Atlanta-Fulton County Stadium"は解体され、現在は駐車場になっている。旧球場の内野のフィールド部分やマウンド、外野のウォーニング・トラックの位置だけは地面の色が塗り分けられていて車が停まってない時に行けば確認できる。まさにアメリカ版「兵土どもが夢の跡」状態。そして1974年4月8日にハンク・アーローンが放ったベーブ・ルース超え715号HRが直撃した外野フェンスは一部分だけそっくりそのまま保存されている(何故HRなのに外野フェンスに打球が当たったのかと言うと、当時フルトン・カウンティ・スタジアムにはラッキーゾーンが設置されていたから)。
 2013年11月にブレーヴスは突如近郊のコブ郡(Cobb County)に新球場を建設してアトランタ市内から出て行く事を発表した。理由は交通渋滞、球場の最寄り鉄道駅がない、球場周辺の環境の悪さ、駐車場スペースが少ない、などなど。予定通り2016年が最後のシーズンになった。
行き方:ゲームのある日はMARTA(Metropolitan Atlanta Rapid Transit Authority)のWest End駅から直通シャトルバスが出る。以前はFive Points駅から出ていたが2015年からWest End駅に変更になった。所要時間は10分弱で運賃は地下鉄やバスと同じく$2.50が必要。1日乗車券でも乗れる。ゲーム終了後も球場の南西の角、フリーウェイの高架下から帰りのシャトルが出る。
観戦したゲーム(7):
1998.7.31 Braves vs. Cardinals
1998.8.01 Braves vs. Cardinals
1998.8.02 Braves vs. Cardinals
2005.7.04 Braves vs. Cubs
2005.7.05 Braves vs. Cubs・・・CHC先発のグレッグ・マダックス、移籍後初凱旋登板も6回5失点でKO
2015.5.05 Braves vs. Phillies
2015.5.06 Braves vs. Phillies

サン・ライフ・スタジアム
テナント:フロリダ・マーリンズ (1993-2011)
所在地:フロリダ州マイアミ・ガーデンズ
開場:1987年
収容人数:38,560人

Photo by 球場巡礼

 ドギツいオレンジ色の座席がやけにまぶしいフットボールスタジアム。元はNFLドルフィンズのために建設され、1993年のマーリンズ創設とともに初代本拠地となった。特徴のないデザインなのでわかりにくいが実はHOK(現Populous)の最初期作品である。このスタジアム、名前が何度も変わっていて非常にややこしい。マーリンズのホームとなった当時はドルフィンズのオーナーの名を冠して"Joe Robbie Stadium"と名乗っていたが、1996年から衣料品メーカーのプロ・プレイヤー社がネーミング・スポンサーとなって"Pro Player Stadium"に。契約が切れて"Dolphins Stadium"になったあと"s"がスッーと取れて"Dolphin Stadium"に。2010年のスーパーボウルとプロボウルの会場になることからその年に限りビール会社がスポンサーがついて"Land Shark Stadium"。そしてスーパーボウルが終わった途端にカナダの生命保険会社であるサン・ライフ社がスポンサーになり現在の名称になった。個人的な意見として、メジャースポーツの本拠地はあまり名前をコロコロ変えるべきではないと思うのだが...。
 そもそも野球場としては全く機能していなかった。座席は全て外野のセンター方向へ向いており、ホームプレート後方以外はどこに座っても体をよじっての観戦を強いられる。野球場としてのこけら落としは1988年3月31日に行われたドジャース対オリオールズのオープン戦。フットボールの時は6万人以上のキャパをほこるが、野球の時は外野席のほとんどを閉鎖しておりキャパは3万人台にまで落とされる(ただし2003年のワールド・シリーズでは全ての座席が開放され連日65,000人以上も入った)。しかし少ない観客でもそこはマイアミ。土地柄、ラテン・アメリカ諸国からの移民が多いので応援はサッカーばりのにぎやかさになる。鳴り物有り、ホーン有り、ダンス有りで他の球場のノリとは一線を画する。ダウンタウンに野球専用スタジアム建設のウワサはずいぶん前からささやかれていたが、2012年にようやく新球場オープンが決定した。既に工事が始まっているので、今度こそ信じてよいだろう。毎度おなじみのポピュラス(旧HOK)の設計でスコールを避けるため開閉式の屋根が付くとのこと。新球場オープンと同時にチーム名も"Miami Marlins"に変更になり、マイアミを意識したチームに変身する。
行き方:球場はダウンタウン・マイアミのはるか北側にあり、実際マイアミ郊外のマイアミ・ガーデンズ市に位置している。ハッキリ言ってレンタカーかタクシーで行くのが普通だろう。それでも「そんな金はない!」という人はやはりマイアミからバスで行くしかない。
 Metro-Dade County Transitが運行する#27のバスを捕まえる事ができれば球場のすぐ近くまで行く事ができる。#27は27th Ave. という大通りを南北に走っている路線で、ダウンタウンやマイアミ・ビーチから出てるバスから簡単に乗り継ぐことができる。マイアミ・ビーチから行く場合は、サウス・ビーチのターミナル(Washington Ave. とLincoln Rd. の角)から出てるG、Lバスで27th Ave.まで。マイアミのダウンタウンからの場合は、ダウンタウンのバス・ターミナルから27th Ave. を通るバスが何路線か出ている。詳しくはメトロレイルのGovernment Center駅内にある案内所で。所要時間は90〜120分ぐらいみといた方がいい。(98年7月現在)
観戦したゲーム(4):
1998.7.18 Marlins vs. Cubs
1998.7.19 Marlins vs. Cubs
2011.9.06 Marlins vs. Mets
2011.9.07 Marlins vs. Mets

メトロドーム
テナント:ミネソタ・ツインズ (1982-2009)
所在地:ミネソタ州ミネアポリス
開場:1982年
収容人数:46,564人

photo by 球場巡礼

 ご存知東京ドームのモデルとなった空気膜構造(内部の気圧を高くして屋根を持ち上げる)による多目的ドーム。正式にはミネソタ州出身の副大統領の名前を冠して【Hubert H. Humphrey Metrodome】という。NFLヴァイキングも本拠地にしているが、NBAティンバーウルヴズも創設初年度だけ使用していたので、MLB、NFL、NBAの本拠地となったことのある珍しいスタジアムである。
 場内はオープン・コンコースではなくスタンドの裏にコンコースがある古いタイプの構造で、この点はさすがに後発の東京ドームに分がある。座席はフィールドの中心に向いているので野球観戦の場合はハッキリ言って見にくい。フィールドはほぼ四角形で外野のふくらみは全くなし。ふくらみがないのと空気圧の関係もあってこの球場は他球場よりHRが多く、一時はツインズの攻撃中はもっとHRが出やすいようにとホームから外野方向に風が吹くように空調を操作していたこともあった(都市伝説っぽいが球場の元職員が証言!)。スタンドは2層でフィールドレベルもアッパーデックも傾斜がきつく高さがある。屋根付きの球場はスペースに限りがあるためスタンドがタテに広がるのは仕方のないところか。ちなみにスタンドには横に移動できる通路が一切無い。野球開催の場合は右中間の可動式スタンドを折りたたんでむりやり外野を確保するカタチになる。したがって右中間のフールド・レベルの座席はメトロドームでは存在しない。中継で見られるネイビーブルーの壁は実は折りたたまれたスタンドが裏をさらしたのアラレもない姿だったのだ。それでもなおライトはレフトより約5mほど短く、ドーム球場であるにもかかわらずフィールドは左右非対称になっている。スコアボードはフットボール用なので1塁側とその対面のレフト側にありちっこくて見にくい。なんの情緒もない球場だが、一応野ボールパークっぽくするために右中間のアッパーデックを垂れ幕でかくしてそこに歴代の永久欠番と優勝ペナントを掲げている(実はこの垂れ幕の裏のスタンドは閉鎖されているワケではなく、普通に歩いて通り抜けられる)。
 2004年にハイアワサ・ラインというライトレールが開通し、アクセスはかなり便利になった(このライトレールはダウンタウンから空港を経由し、ツインズが1961〜81年まで本拠地としていた"Metorpolitan Stadium"の跡地に建てられたモール・オブ・アメリカまで通じている)。ライトレールの駅前はゲーム前になると歩行者天国として開放され、屋台や球団のファンサービス・ブースなどが出て結構な賑わいをみせる。ドームは2009年限りでその役目を終え、ツインズは2010年からダウンタウンの新球場"Target Field"へ移る。この球場、当初は開閉式屋根付きの予定だったが予算がなくオープン・エアになってしまった。もぉファウルグラウンドにあるブルペンをスタンドから間近に拝めないと思うとちぃとばかし残念だが、誰もそんなコト気にしちゃいないでしょうな…。
行き方:ミネアポリスのダウンタウンの東にある。Metro Transitが運営するライトレール(路面電車)"Hiawatha Line"のDowntown East/Metrodome駅下車、スグ。運賃はオフピーク時で$1.75、ピーク時で$2.25。(09年07月現在)
観戦したゲーム(4):
1997.7.10 Twins vs. Indians
1997.7.12 Twins vs. Indians
2009.7.03 Twins vs. Tigers
2009.7.05 Twins vs. Tigers

ヤンキー・スタジアム
テナント:ニューヨーク・ヤンキース (1923-2008)
所在地:ニューヨーク州ブロンクス
開場:1976年
収容人数:57,478人

photo by 球場巡礼

 「ルースの建てた家」と呼ばれていた初代は1973年のシーズン終了後に取り壊され、この球場はその跡地に建て直された二代目。解体から1976年の再オープンまでに2年を要したので、その間の2シーズンはメッツの"Shea Stadium"を間借りして公式戦を行っていた。外観は初代と同じくグレーのコンクリでスタンド裏やスロープを覆うように隠し、その壁面にアーチ型の窓をくり抜いた伝統の意匠を踏襲している。この球場でよく語られるのは「ライトが比較的浅く、レフトが異常に深いので左打者はHRが出やすい」というネタだが、左中間がとんでもなく深かったのはルースが活躍していた初代の頃。建て直された二代目はオープン当時こそ初代の面影を残していたが、幾度かの改修を重ねるうちに左右のバランスが整えられ(左中間が10mも短くなった)、現在のMLBではむしろ均整のとれたフィールドとして認識されている。外野よりも特徴的なのは気持ち悪いくらい深くえぐれているバックストップ。
 北米イチ物価の高い町だけあってビール、ソーダ、ホットドッグ、ポップコーン、アイスクリームなどは全球場の中でもイチニを争う値段。チケットも高く、NYでのMLB観戦はとてもじゃないがファミリー・エンターテイメントと呼べるシロモノではなくなった。高いのはチケットや食べ物の値段だけではなく、場内の警備員や売り子の態度も横柄。座席は低くて固くて狭く、スタンド裏のコンコースも狭くて暗く、臭くて汚い。まるでNYの路上そのもの。その劣悪な環境に加えてゲーム中に何度も耳にする「レッツ・ゴォ〜・ヤンキィ〜ス」のチャントはニュートラルな野球ファンをイラッとさせ、不愉快で殺伐としたスタジアムの雰囲気ばかりが記憶に刷り込まれる。ヤンキースに罪はないが、大量のアンチを生み出している要因はこのスタジアムとその空気を創りだしているファンにあるのではないかとさえ思う。極めつけはブリーチャー。いついかなる時も敵の外野手に罵詈雑言を浴びせ続け、味方の野手が守備に着く際には一人ずつ名前をコールして自分たちにアイサツを強要する。日本の応援団的な選手への屈折した愛情が横行する、MLBでは珍しい独特の空間がそこにある。他の球場では得難い雰囲気ゆえにハマるヒトも多いらしいが...。
 歴代のヤンキー・レジェンドを祀ってあるモニュメント・パークは左中間にあり、3塁側のコンコースを通ってアクセスできる。しかしいつも行列ができる上に、ゲーム開始45分前までしか入場できないので参拝のチャンスはファン全員に保証されているわけではない。本気で見たけりゃ開門と同時に並ぶくらいのガッツが必要。
 なお、この下水とゲロの香ばしいニホヒを発する二代目は2008年限りでその役目を終え、ヤンクスは2009年からお隣の三代目に移る。2008年に限っては、ヤンキースが勝っても負けても試合終了後にフランク・シナトラの「ニューヨーク、ニューヨーク」が流れていた。このスタジアムで楽しむのもイラッとするのも、It's up to you, New York, New York〜♪
行き方:"Yankee Stadium"参照。
観戦したゲーム(15):
1996.6.13 Yankees vs. Indians
1996.6.14 Yankees vs. Indians
1996.6.16 Yankees vs. Indians
1996.6.18 Yankees vs. Twins
1997.9.17 Yankees vs. Tigers
1997.9.22 Yankees vs. Blue Jays
1997.9.30 Yankees vs. Indians (Division Series Game 1)・・・ジョー・ディマジオが始球式に登場
1997.10.2 Yankees vs. Indians
(Division Series Game 2)
1999.4.10 Yankees vs. Tigers
1999.4.11 Yankees vs. Tigers
1999.4.13 Yankees vs. Orioles
2003.6.28 Yankees vs. Mets (Interleague)・・・Day & Night Double HeaderのGame 1
2003.6.29 Yankees vs. Mets (Interleague)・・・H. マツイ9号ソロHR

2008.6.30 Yankees vs. Rangers
2008.7.01 Yankees vs. Rangers

シェイ・スタジアム
テナント:ニューヨーク・メッツ (1964-2008)
所在地:ニューヨーク州フラッシング
開場:1964年
収容人数:57,369人

photo by 球場巡礼

 1962年に誕生した新興球団メッツは最初の2シーズンを伝説の"Polo Grounds"で過ごしたあと、新しく建設されたこの出来損ないのクッキーカッター・スタジアムに移ってきた。球場名はジャイアンツとドジャースが去ってしまったニューヨークに再びナショナル・リーグのチームを復活させようと尽力した弁護士のウィリアム・シェイ氏にちなむ。日本では以前はよく"シェア・スタジアム"と発音されていた。建設当初の案では9万人収容の完璧なクッキーカッターになるはずだったが、予定より1年遅れで完成したスタジアムは何故か外野の部分だけがパックリ開いた変則的な形状になってしまった。本来スタンドになるはずだった外野部分にはライトにスコアボード、レフトにブリーチャーが設置され、結果として開放感のある野球場らしいルックスに仕上がった。
 外観はきれいな円形にスロープがはりめぐらされたクッキーカッター独特の風貌で外壁はチームカラーであるブルーにペイントされている。4層から成る巨大スタンドを埋めるシートは当時は全て木製だったらしいが1980年にプラッチックの跳ね上げイスに取り替えられた。フィールドレベルから順にオレンジ→青→緑→赤と色分けされているが、晩年はペイントがハゲてたりして結構みすぼらしかった。座席の前後は間隔が狭く、シート自体もかたくてケツが滑りやすく座り心地は良くなかった。すぐ近くには国内線専用のラガーディア空港があり、飛行機が球場のすぐ真上をかすめるようにして飛んでゆくので爆音がひっきりなしに聞こえる。ある意味シェイ名物ではあるが、選手は集中力を保つのが大変だったとか。球場の雰囲気は悪くない。ブロンクスのような下品で狂信的なファンはあまりおらず、アット・ホームなぬるい雰囲気が蔓延していて非常にのんびりとしている。セブンス・イニング・ストレッチの後に流れるメッツのオフィシャル・ソング"Meet The Mets"もゆるくてイイ感じ。また、ここはバナー応援の発祥の地でもある。イニング間には「ディヴィッド・ライト、私と結婚して〜」とか、ヤンキース戦でもないのにヤンキースをクサすパンチの効いたバナーが出るのでお見逃し無く。
 フィールドは完全なシンメトリーで両翼103m、中堅125mと結構広め。1984年まではNFLジェッツと共用しており、ヤンキースも本拠地改修中に間借りしていた。また1965年にはビートルズによってロック史上初のスタジアム・コンサートが行われるなど多目的スタジアムとしても利用されていた。地下鉄の線路を挟んだ反対側にはテニスのUSオープンの舞台となるアーサー・アッシュ・スタジアムも隣接。開場45年目にあたる2008年がファイナル・シーズンとなり、新球場の完成後は解体されて駐車場となった。
行き方:"Citi Field"参照。
観戦したゲーム(16):
1996.6.11 Mets vs. Braves
1996.6.12 Mets vs. Braves
1997.9.02 Mets vs. Blue Jays (Interleague)・・・TOR先発のR. クレメンス、6回7失点でKO
1997.9.24 Mets vs. Pirates
1997.9.27 Mets vs. Braves
1997.9.28 Mets vs. Braves (ホーム最終戦)
1999.4.12 Mets vs. Marlins (Home Opener)
1999.4.14 Mets vs. Marlins
1999.4.15 Mets vs. Marlins
1999.4.17 Mets vs. Expos
2003.6.28 Mets vs. Yankees (Interleague)・・・Day & Night DoubleheaderのGame 2
2003.7.10 Mets vs. Phillies
2003.7.12 Mets vs. Phillies
2004.5.23 Mets vs. Rockies・・・K. マツイ先頭打者HR/NYM先発のT. グラヴィン1安打完封
2008.6.25 Mets vs. Mariners (Interleague)
2008.6.28 Mets vs. Yankees (Interleague)

ロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアム
テナント:ワシントン・セネターズ (1962-1971)/ワシントン・ナショナルズ (2005-2007)
所在地:コロンビア特別区ワシントン
開場:1961年
収容人数:45,250人

photo by 球場巡礼

 1961年に【D.C. Stadium】としてオープン。1969年に故ロバート・ケネディ上院議員の功績を称えて現在の名称に変更された。通称"RFK"。二代目ワシントン・セネターズ(1961-71年:現在のテキサス・レンジャーズ)が出て行って以来ほとんど野球場としては機能していなかったが、2005年にエクスポズが移転してきた事により約30年振りに現役球場としてカムバックを果たした。セネターズの他にはNFLレッドスキンズが1996年まで、MLSユナイテッドが1996年からホームとしている。1994年にはFIFA World Cupの会場にもなっており、当時はMLBで唯一のプロ・サッカーとの共用スタジアムだった。ちなみにナショナルズは2008年から新球場"Nationals Park"に移ったがそれまでは「MLBで4番目に古いスタジアム」という肩書きも持っていた。
 70年代にアメリカのスポーツ界を席巻した、いわゆるクッキーカッター・スタジアムの元祖にして最後の生き残り。外観はクッキーお約束のコンクリ打ちっ放しではあるが、周囲を取り巻くスロープに格子風の装飾が施されていたりしてそれなりに「見た目」に気を遣っているようにも伺える。スタンドは外野の一階席部分を除けば基本的に360度全方位二層構造。座席が撤去されてムキ出しになっている巨大な壁と外野フェンスの間のラッキーゾーンはブルペンとして利用されていた。スタンド裏のコンコースは陰気で薄暗い上に売店の安い油のニオイが充満しており、昔のスタジアムの雰囲気をあますところなく現代に伝えている。懐かしさと気持ち悪さで胸がいっぱいになる事請け合い。このスタジアムの見所はコンテナーを改造したチケット売り場...も捨てがたいが本命は波打つようにうねっている二階席の屋根だろう。アッパーデックはバックネット裏の列数が一番少なくて、ちょうど1塁・3塁ベース辺りの列数が一番多くなっている。従って外野席からホーム方向を俯瞰すると鳥が左右に翼を広げているように見えるのだ。クッキーならではのシンメトリーな眺望も2007年シーズンをもってMLBから姿を消す事となる。今ではまだ顧みられる事のないクッキーカッター・スタジアムだがMLBから完全になくなるのは名残惜しいような気もする。
 座席についてだが、1階席はオレンジ、2階席の下段が赤、上段がイエローに塗り分けられている。配色がまるで日本の球場のようで萎えるが、この座席にもちょいとした歴史が刻まれている。外野のアッパーデック上段席の中に白くペイントされているシートがある。運良く白いシートを発見できた人はその謂われを誰かに聞いてみるといい。オールド・スタジアムに歴史あり。ちなみにアッパーデックの座席は一部を除いて未だに木製なのも泣ける。
行き方:地下鉄オレンジ/ブルー・ラインのStadium-Armory駅下車、徒歩5分。駅からスタジアムまでの道中は道以外に何もない。
観戦したゲーム(3):
2006.5.05 Nationals vs. Pirates
2006.5.06 Nationals vs. Pirates
2006.5.20 Nationals vs. Orioles (Interleague)

ブッシュ・スタジアム
テナント:セント・ルイス・カーディナルズ (1966-2005)
所在地:ミズーリ州セント・ルイス
開場:1966年
収容人数:50,345人

photo by 球場巡礼

 もともとはNFLカーディナルズ(1988年にアリゾナ州へ移転)との兼用スタジアムとして建設された。球場名はかつてカーディナルスのオーナーだったアンハイザー・ブッシュ社(バドワイザー・ビールの会社)にちなみ、いっこまえの球場も元々は"Sportsman's Park"と呼ばれていたがブッシュ社がオーナーになってからは"Busch Stadium"と改称された。つまりこの球場は2代目の"Busch Stadium"とゆう事になる。レフト後方にゲートウェイ・アーチが見えるが、スタジアムの屋根代わりになっているカバーにもアーチ状の装飾がなされており古代ローマのコロッセオのようで雄壮な風貌だった。NFLラムズ(NFLカーディナルズ転出の後LAから移転)が95年のシーズン途中にドームに移ると、96年にはフィールドを天然芝に張り替え、外野フェンスをグリーンに塗り替えるなど野球専用スタジアムへとすっかり様変わりした。改装後のスタジムはその頃から乱立されるようになったデザイン重視の新球場とはひと味違った「中途半端な古さ」とフィールドをグルッと取り囲む360度のスタンドがむしろ新鮮に感じられ、古参(クラシック)と新卒(ネオ・クラシック)の間をとりもつ貴重な中間管理職的存在だった。センター後方のアッパーデックにあるスコアボードはレトロ感を出すためかあえて手差し。その左右にはワールド・チャンピヨンのフラッグと永久欠番のフラッグが飾られている。またレフトポール沿いの3階席の一画にはマクドナルド協賛の「ビックマック・ランド」なるシートが設けられていて、ランドの入場者には黄色いヘルメットが配られていた。ホームラン・キングのマーク・マグワイアが現役だった頃はこの辺りにHRが飛び込む事もあり人気のシートだった(もちろん彼のニックネーム「ビッグ・マック」にあやかった企画)。
 球場の隣にはカーディナルズの殿堂博物館(何故かボーリングの殿堂博物館と併設)があるのでこちらも要チェック。チームは改装して10年しか経っていない2代目をさっさと見切り、2006年からはすぐお隣に完成した3代目"Busch Stadium"に移った。
*スポーツマン’ズ・パーク・・・1902年にオープン。1902〜1953年まで約50年間セント・ルイス・ブラウンズ(現在のボルティモア・オリオールズ)の、1920〜1966年のシーズン途中までカーディナルズのホームだった。改装に改装を重ね最終的なキャパは30,500人。アンハイザー・ブッシュ社がカーディナルズのオーナーになった1953年に初代"Busch Stadium"を襲名した。
行き方:ダウンタウン内にあるので主要ホテルからなら歩いて行ける。メトロリンク(近郊電車)を使う場合はStadium駅下車スグ。
観戦したゲーム(6):
1997.5.31 Cardinals vs. Dodgers
1997.6.01 Cardinals vs. Dodgers
1997.6.03 Cardinals vs. Rockies
2005.6.07 Cardinals vs. Red Sox (Interleague)
2005.6.08 Cardinals vs. Red Sox (Interleague)
2005.6.10 Cardinals vs. Yankees (Interleague)・・・NYYの先発は台湾人右腕・王建民

オリンピック・スタジアム
テナント:モントリオール・エクスポズ (1977-2004)
所在地:ケベック州モントリオール(カナダ)
開場:1977年
収容人数:46,620人

photo by 球場巡礼

 おフランス系トレビア〜ン・ベースボールが満喫できたMLB唯一の変わり種スタジアムだった。モントリオールを含むケベック州はほとんどの住人がフランス系カナダ人で、日常はフランス語が主に話されている。当然スタジアムのアナウンスもフランス語と英語の二ヶ国語で(先にフランス語で放送)、ピッチャーをlanceur、ショートストップをarret-courtなどと言った。ゲームプログラムも英仏の二ヶ国語で表記されていた。アメリカのスタジアムとの雰囲気の違いは随所に見られるのだが、個人的にはホッケー・ジャージを着込んで観戦に来るファンがかなり多い事と、Usher(場内係員)のほとんどが、おっさん・おばはんではなくスタイルのよい美人のブロンド乙女ばかりなのが気になった。ムフー!
 ここの特徴は場内の大部分を占める黄色の薄っぺらでちゃちい跳ね上げイス。アメリカではお目にかかった事のないタイプないので、恐らくケベック・プロダクツなのだろうと推測してみる。コイツの可動部分を上下に動かし、リズムに合わせてガンガンうち鳴らすのがケベック流の応援で、少ない人数で相当やかましい効果を得る事ができた。必然か意図的かはわからんが、よく考えたものだ...。皮肉な事に移転を前にして人工芝は流行のField Turfに張り替えられ、取り外し可能の屋根も新しいもの変わっていた。また、最後の数シーズンはアテンダンスが1万人を割る事が日常だったためアッパーデックは最初っから閉鎖されていた。
 そもそもモントリオールはカナダの国技アイスホッケー発祥の地で、もちろん国内でも随一のホッケータウン。NHLカナディアンズの人気は凄まじく、よくぞエクスポズが球団創設から30年以上も生き長らえてきたものだ、とむしろ感心してしまう。しかし少ないながらも野球ファンは存在するので是非マイナーリーグに入ってきてほしいのだが、いかんせん、興行が打てるちょうどいいサイズのハコがないので未だに実現していない...。2004年9月29日のFlorida Marlins戦がエクスポズ最後のゲームとなってしまったが、アテンダンスは31,395人で満員には程遠かったようだ...。
 ある意味選手より人気者だったためその去就が注目されていたマスコットのユッピーだが、なんと2005-06年シーズンからNHLカナディアンズの初代マスコットに就任した。マスコットのリーグを跨いだ移籍はプロ・スポーツ史上初の試みだった。
行き方:モントリオールを東西に走る地下鉄グリーン・ラインのPie-\駅下車、スグ。駅構内から地下道でスタジアム・エントランスと直結している。
観戦したゲーム(7):
1997.8.01 Expos vs. Padres
1997.8.02 Expos vs. Padres
1997.8.03 Expos vs. Padres・・・MON先発のペドロ・マルティネス、被安打3奪三振10で完投13勝目
1997.8.06 Expos vs. Dodgers
1997.8.07 Expos vs. Dodgers・・・LA先発のH. ノモ、5回2/3を3失点ながらも11勝目
2004.5.29 Expos vs. Reds
2004.5.30 Expos vs. Reds・・・MON先発のT. オーカ、6回2/3を2失点で3勝目

クアルコム・スタジアム
テナント:サン・ディエゴ・パドレス (1969-2003)
所在地:カリフォルニア州サン・ディエゴ
開場:1967年
収容人数:66,307人

photo by 球場巡礼

 スタジアム自体は元々NFLチャージャーズの為に1967年に建設され、パドレスが使い始めたのは球団創設の69年から。開場当時は普通に"San Diego Stadium"と呼ばれていたが、81年に地元誌の名物スポーツ記者に敬意を表し"Jack Murphy Stadium"と改称された(彼の銅像がエントランスに建っている)。97年から地元の通信会社がネーミング・スポンサーになり現在の名称に改められた。愛称は"The Q"。
 「60年代の遺物」と呼ばれる程とにかくバカデカい。もちろんクッキーカッター・スタイルの多目的スタジアムではあるが、スコアボードの両側にそびえる巨大な4層のスタンドを見ればまずフットボールありきのスタジアムである、というのは明らか。シートはNFLチャージャーズとパドレスのチームカラーであるネイビーで統一されている(3層目だけが黄色にペイントされているのはチャージャーズのロゴにある雷?)。外野フェンス沿いに椰子の木が植え込まれてたり、メキシコとの国境が近いのでスペイン語のインフォメーションが流れたりと、なかなかムーチョ・アミーゴな雰囲気が漂う。また、木・日曜日のホームゲームは原則デーゲームで開催されるのだが、その時の場内係員はアロハ・シャツを着用していた。ちなみに南カリフォルニアの夏の日差しは修羅の如く強烈。デーゲームでは迷わず日陰の席に移動することをお勧めする。チャージャーズはまだホームとして使用するが、パドレスは2004年からダウンタウンの新球場"Petco Park"へ移った。
行き方:以前はダウンタウンからバスを2本乗り継いで1時間程かかったが、現在はサン・ディエゴ・トロリーが開通したので直接スタジアムの真ん前まで行ける。ダウンタウンのC St. を走るブルー・ラインのMission San Diego行きに乗り込み約25分、Qualcomm Stadium駅下車スグ。運賃はダウンタウンから往復で$4.50。ナイト・ゲーム終了後もトロリーは走っている。(03年9月現在)
観戦したゲーム(5):
1996.5.23 Padres vs. Phillies
1998.9.01 Padres vs. Mets
1998.9.02 Padres vs. Mets
2003.9.07 Padres vs. Astros
2003.9.09 Padres vs. Giants

ヴェテランズ・スタジアム
テナント:フィラデルフィア・フィリーズ (1971-2003)
所在地:ペンシルヴァニア州フィラデルフィア
開場:1971年
収容人数:62,418人

photo by 球場巡礼

 これまた70年代に流行したフットボール兼用のクッキーカッター・スタジアム。球場名はアメリカ建国の地らしく退役軍人(ヴェテラン)に敬意を表して名付けられた。通称"The Vet"。2002年まではNFLイーグルスと共用していた。球場の近くには映画『ロッキー』の銅像がエントランス前に建っている"Spectrum"やNHLフライヤーズ&NBAシクサーズのアリーナ、NFLイーグルスのスタジアムが隣接しており、大都市には珍しい一大スポーツ・コンプレックスを形成している。2004年に新球場"Citizens Bank Park"がオープンしたのを確認してから跡形もなく破壊され、現在は駐車場になっている。
 野球の時でも6万人以上を収容できる巨大なスタジアムだが、残念ながらレギュラー・シーズンのゲームではほとんどの席が無駄になっていた。それを逆手にとって、イニング間に「アッパー・レベルの階段かけ登り競争」などという自虐的なアトラクションが行われたりもしていた。ザ・ヴェットは2003年シーズンで役目を終えたが特に老朽化してる風もなく全体的にこぎれいで、ブルーで統一されたシートも普通に美しくまだまだ使えるような気もした。とても築30年とは思えなかったのだが...。ちなみにここのアッパー・レベル最上段の座席は北米で最も地上から高いスタジアムの座席だったらしい。チケットの値段は全然高くなかったが。
行き方:地下鉄オレンジ・ライン(Broad Street Line)の終点Pattison駅下車、スグ。改札を出るとフィリーズで50年間も監督を務めたコニー・マックのブロンズ像が「ごちゃごちゃ言うてんと写真撮ったらんかい!」とポーズをキメて待っていた(現在は新球場前に移設されている)。
観戦したゲーム(8):
1997.9.12 Phillies vs. Reds (DH)
1997.9.15 Phillies vs. Mets (DH)
1997.9.16 Phillies vs. Mets・・・当時NYMに所属していたT. カシワダ(元読売)がリリーフ登板
2003.7.02 Phillies vs. Cubs
2003.7.03 Phillies vs. Cubs
2003.7.05 Phillies vs. Marlins

シナジー・フィールド
テナント:シンシナティ・レッズ (1970-2002)
所在地:オハイオ州シンシナティ
開場:1970年
収容人数:39,000人

photo by 球場巡礼

 旧名の"Riverfront Stadium"の名が示す通りオハイオ川に面して建っている、NFLベンガルズとの兼用スタジアム。ピッツバーグの"Three Rivers Stadium"やフィラデルフィアの"Veterans Stadium"などと同じく、70年代に一時代を築いた円形多目的スタジアム派。4層からなるスタンドは各レベルごとに座席が青、緑、黄、赤に塗り分けられていてやたらとカラフル、というか子供っぽかった。スタンドからの眺めというのは特にないが、外野からホーム・プレート方向を見るとスタンドから突き出ているかのように高層ビルの先っぽだけが見えた。1997年から地元のガス・電力会社がネーミング・スポンサーになり"Cinergy Field"に改称。
 最初のプロ野球チーム発祥の地というわけで以前は何処よりも早く開幕戦を行う、という伝統があったが現在では別にどうでもよくなっているようだ。球場内にはシンシナティ名物のチーズ・コニー(小振りなチリ・ドッグにスライスしたチーズを大量にふりかけてある)を売る「スカイライン・チリ」のスタンドがあったが新球場にはどうだったか...。ちなみにこの球場では"Take me out to the ball game"を歌う際、let me root, root, root for the home team〜♪の箇所で、"home team"を"Reds"と変えるのではなくて"Red legs"と歌っていたのでなるほどと感心した。"れ〜ぇずぅ〜♪"じゃマヌケだもんなぁ。2000年シーズン終了後に新球場建設の邪魔になるという事で外野席をほとんどとっぱらい、フィールドを天然芝に張り替えるなどの大改装が行われた。HOK(現Poplus)設計の"Great American Ball Park"は2003年にオープンした。
*現在ベンガルズは2000年にオープンしたフットボール専用の"Paul Brown Stadium"でプレイしている。

行き方:"Great American Ball Park"参照。

観戦したゲーム(3):
1997.6.06 Reds vs. Mets
2002.5.08 Reds vs. Brewers・・・当時MILに所属していたT. ノムラ(元オリックス他)がリリーフ登板
2002.5.10 Reds vs. Cardinals

スリーコム・パーク
テナント:サン・フランシスコ・ジャイアンツ (1960-1999)
所在地:カリフォルニア州サン・フランシスコ
開場:1960年
収容人数:63,000人

 ジャイアンツがホームとしていた時代の正式名称は"3Com Park at Candlestick Point"。1960年の開場から長い間"Candlestick Park"として親しまれてきたが1995年からスポンサー名がついてしまった。現在はNFLフォーティ・ナイナーズの専用スタジアムとなり、名前も新たに"Monster Park"と呼ばれている。愛称は「ザ・スティック」。
 MLBの本拠地の中で最大のキャパを誇ったがポスト・シーズン以外では満員になった事がない。99年9月30日のドジャース戦がファイナル・ゲームになってしまったが、皮肉にもこのゲームがレギュラー・シーズン最高のアテンダンスを記録した。海からの風がきつくて春先や秋のゲームは言うにおよばず、真夏のナイト・ゲームでも寒く感じる時があるという、MLBで一番コンディションの悪い球場だった。ファイナル・ゲームでは試合終了後にさよならセレモニーが行われ、ウィリー・メイズによるラスト・ピッチで球場はその歴史に幕を下ろした。ジャイアンツは2000年からダウンタウンの南側に新しく建設された"Pacific Bell Park"(現"AT&T Park")に移った。
行き方:スタジアムはサン・フランシスコのダウンタウンからだいぶ南にあり、サン・フランシスコ湾の船着き場に面している。ゲームのある日は開始の1時間半ぐらい前からシャトル・バスが各地から出る。ダウンタウンから出発するのは#9Xというバスで正面に"Ballpark Express"と書いてあるので間違える事はない。ユニオン・スクエアの東側、Stockton St. & Geary St. の角から乗るとわかりやすい。往復で$5.00。帰りも必ず#9Xのバスに乗ること。(99年9月現在)
観戦したゲーム(6):
1996.5.18 Giants vs. Mets(メジャー初観戦)
1998.6.15 Giants vs. Rockies
1998.6.16 Giants vs. Rockies
1999.9.28 Giants vs. Dodgers
1999.9.29 Giants vs. Dodgers
1999.9.30 Giants vs. Dodgers (Final Game)

アストロドーム
テナント:ヒューストン・アストロズ (1965-1999)
所在地:テキサス州ヒューストン
開場:1965年
収容人数:54,370人

 アストロズの二代目本拠地球場。世界初のドーム球場、世界の八番目の不思議、そして一時期は諸悪の根源とされていた人工芝(アストロターフ)発祥の地。まぁそんなことより1965年の時点で既にドーム球場が完成していた事に驚かされる。ちなみにアストロドームでの初ホームランは開幕前に行われたヤンキースとのオープン戦でミッキー・マントルが記録している。1965年とはそんな時代だったのだ。開場初年度はフィールドはナチュラル・グラスだったが日が当たらず見事に枯れてしまい、翌66年から人工芝になった。人工芝については当時現役の外野手ディック・アレン(フィリーズの永久欠番)が「馬がそれを食べなければオレは(人工芝で)プレーしない」という名言を吐いたことでも知られる。アッパーデックのシートが昔のユニフォームと同じアストロ・カラーにペイントされているのがレトロ。アストロズの他にはNFLオイラーズ(現テネシー・タイタンズ)もナッシュヴィルへ移転するまでは共用していた。アストロズは2000年のシーズンからHOK(現ポピュラス社)の設計によるダウンタウンの野球専用球場"Enron Field"(現"Minute Maid Park")へ移った。現在アストロドームはまだ健在で、隣には2002年にオープンしたNFLテキサンズの開閉式屋根付きスタジアム"NRG Stadium"がそびえている。ちなみにアニメ「機動戦士ガンダム」(1979年)でガルマ・ザビの攻撃にさらされたホワイトベースが逃げ込んだ雨天野球場は、アニメの制作年代のことを考えるとこのアストロドームのことで間違いないと私は思う…。
行き方:ドームはダウンタウンの南にあり、当時はダウンタウンのMain St. を走るバスを利用した。現在は路面電車が開通し、レッドラインの"Stadium Park / Astrodome"が最寄り駅となる。
観戦したゲーム(6):
1998.8.12 Astros vs. Brewers
1998.8.13 Astros vs. Brewers
1998.8.14 Astros vs. Cubs
1998.8.15 Astros vs. Cubs
1998.8.16 Astros vs. Cubs
1999.4.06 Astros vs. Cubs (Season Opener)

スリー・リヴァーズ・スタジアム
テナント:ピッツバーグ・パイレーツ (1970-2000)
所在地:ペンシルヴェニア州ピッツバーグ
開場:1970年
収容人数:47,687人

 文字通り3つの川(オハイオ川、アルゲイニー川、マノンガヘイラ川)の合流地点に建つ、NFLスティーラーズとの兼用スタジアム。フィラデルフィアやシンシナティと同じく70年代に流行したフットボール兼用円形多目的スタジアム。スタンド裏のコンコースには誇らしげにパイレーツとスティーラーズの優勝バナーが多数掲げられており、メイン・チームストアではパイレーツだけではなくスティーラーズとNHLペンギンズのグッズまで揃っていた。ちなみに3チームともチーム・カラーは黒と黄。スタジアムの正面入口前には72年の大晦日に飛行機事故で亡くなった英雄ロベルト・クレメンテの銅像が建っていた。
 チームは2001年からHOK(現poplus)設計による"PNC Park"へ移り、スタジアムは跡形もなく爆破解体され現在は駐車場になっている...。
*現在スティーラーズはスタジアムの東側に2001年にオープンしたフットボール専用の"Heinz Field"でプレイしている。
行き方:"PNC Park"参照。
観戦したゲーム(5):
1997.8.20 Pirates vs. Padres
1997.8.22 Pirates vs. Giants
1997.8.24 Pirates vs. Giants
1997.8.25 Pirates vs. Dodgers (DH)

タイガー・スタジアム
テナント:デトロイト・タイガース (1912-1999)
所在地:ミシガン州デトロイト
開場:1912年
収容人数:52,416人

 タイ・カッブやハンク・グリーンバーグ、アル・ケーラインといったレジェンドたちがプレイし、ミシガン州の史跡にも指定されたほんまもんの「球界遺産」。昨今ボストンの"Fenway Park"がMLB最古の球場として持て囃されているが、実はこっちも同期デビュー。MLB最古という看板があまりちやほやされていない時に先に現役を退いてしまったため球史のスポットライトを浴び損ねたのはちょっと不運だった。建物は空き家になった後も解体費用が出せないという理由で長らく放置されていたが、2008年になってようやく多くのファンに惜しまれながら解体された。
 フィールドの四方全てを2層のスタンドに囲まれた独特の形状が特徴。しかも2階スタンドには鉄骨ムキ出しの屋根がセンター後方以外全体的にかかっていて、もはやここだけにしか残されていなかった貴重な建築様式だった。1階席はすぐ頭上に2階席がのっかっている感じがして相当窮屈、2階席は屋根を支えている鉄柱がそこら中に乱立しており、どっちにしても快適な観戦環境ではなかった。それがまたいい、と言う人もいるが障害物が目に入らず全フィールドを見渡せる席が少ないという状況はやはり不便だった。スタンド裏のコンコースは薄暗く、なんとなく陰鬱でうらぶれた雰囲気が充満していた。1938〜74年まではNFLライオンズと共用。
 私が見た97年7月27日の試合前に、1940年代に活躍した名投手ハル・ニューハウザーの背番号16が永久欠番になるという事でセレモニーが行われた。ニューハウザーはタイガースが45年にワールド・チャンピオンになった時のエースだから、欠番になるのに50年近くもかかったことになる。セレモニーにはヨボヨボになった"Prince Hal"のスピーチがあり彼自身がファースト・ピッチも行った。タイガースは2000年からダウンタウンの新球場"Comerica Park"へ移った。
行き方:球場はダウンタウンの西側に位置し、大通りであるMichigan Ave. とTrumbull Ave. の角にあった。ダウンタウンの中心(バスの発着所にもなっているキャデラック・スクエアあたり)からはMichigan Ave. を走る#35のバスででも行けるが、歩いてもそう時間はかからない(20分ぐらい)。
観戦したゲーム(4):
1997.7.22 Tigers vs. White Sox
1997.7.23 Tigers vs. White Sox
1997.7.26 Tigers vs. Brewers
1997.7.27 Tigers vs. Brewers

ミルウォーキー・カウンティ・スタジアム
テナント:ミルウォーキー・ブリュワーズ (1970-2000)
所在地:ウィスコンシン州ミルウォーキー
開場:1953年
収容人数:53,192人

 "Shea Stadium"や"Dodger Stadium"とよく似た感じの大型スタジアム。50年代の開場、キャパが53,000人以上もあることは意外に知られていないのではないだろうか?開場当時はボストンから移転してきたミルウォーキー・ブレーヴス(現アトランタ・ブレーヴス)がホームとしていたが、1965年シーズン終了後にブレーヴスがアトランタに移転してからは空家状態だった。二代目の住人は70年にシアトルから移転してきたパイロッツ(現在のブリュワーズ)。1998年にブリュワーズはア・リーグからナ・リーグに移ったが、それほど違和感を感じなかったのは、かつてブレーヴスがホームとしていたためだとも言われている。
 名物はなんと言ってもブリーチャー後方にある巨大なビア樽とジョッキ。ブリュワーズの選手がホームランを打つとマスコットのバーニー・ブリュワーが小屋から出てきて、おもむろにジョッキへ滑り落ちるのがマヌケで笑える。7回の表に行われるソーセージ・レース(ソーセージに扮したマスコット同士のかけっこ)も必見。
 映画『メジャーリーグ』ではクリーヴランドの旧"Cleveland Municipal Stadium"の代わりに撮影に使用されるなど古き良き雰囲気を存分に備えていた。ブリュワーズは2001年シーズンからスグお隣に建設された開閉式の屋根付き球場"Miller Park"へ移り、球場は跡形もなく爆破解体された。
行き方:"Miller Park"参照。
観戦したゲーム(4):
1997.7.03 Brewers vs. Twins
1997.7.04 Brewers vs. Twins
1997.7.06 Brewers vs. Twins
1997.7.20 Brewers vs. Yankees・・・NYY先発H. イラブ、6回2/3を6失点でメジャー初黒星

キングドーム
テナント:シアトル・マリナーズ (1977-1999)
所在地:ワシントン州シアトル
開場:1977年
収容人数:59,856人

 ヒューストンの"Astrodome"に次ぐMLB史上2番目のドーム球場。NFLシーホークスとの兼用で見たまんま円形の鉄筋コンクリート製。1978〜1985年まではNBAスーパーソニックスもホームとしていた。「王様ドーム」という意味ではなく、シアトルを含む地域一帯がKing Countyに属しており、ドームも郡が所有していたために命名された。1977年のチーム誕生以来ずっとマリナーズのホームとして使用され続けた。1994年には天井のタイルが剥がれ落ちたり、1996年には地震でゲームが中止になったりと、晩年は野球以外の話題が多くそれが原因で新球場建設が早まった。
 私は97年5月17日のゲームでソールド・アウトを食らったが(定価$5.00のチケットをダフ屋に$20.00でつかまされた...)、室内に57,000人もの人間が入っているのを見て静かに驚いた。ついでに室内での打ち上げ花火を初めて見たのもここだった。2000年3月に跡形もなく爆破破壊され、その跡地には新たにシーホークスの本拠地"Qwest Field"が建設された。新しくホームとなる野球専用の"Safeco Field"はドームのすぐお隣(南側)に建設され、1999年7月15日のパドレス戦で初お目見えとなった。
行き方:"Safeco Field"参照。
観戦したゲーム(3):
1997.5.15 Mariners vs. White Sox
1997.5.16 Mariners vs. Orioles
1997.5.17 Mariners vs. Orioles