Wrigley Field (Chicago, IL)
PNC Park (Pittsburgh, PA)
Busch Stadium (St. Louis, MO)
Great American Balll Park (Cincinnati, OH)
American Family Field (Milwaukee, WI)
 

シカゴ・カブス
球場:リグレー・フィールド
所在地:イリノイ州シカゴ
開場:1914年
収容人数:39,538人

photo by 球場巡礼

 ボストンの"Fenway Park"と並び称されるMLBで最も美しく賑やかな球場。単純に野球を見るための場所で、90年代以降の新世代球場のような娯楽施設などは一切ない。それはサービスはなくても野球だけで十分楽しませる、という自信のあらわれだろう。球場が雰囲気を作るのではなく、集まってくるファンが独特の雰囲気を作り出す、という理想的な究極の球場。スタンドは2層でアッパーデックには全体的に屋根がかかっている。外観はちょっとくたびれてて辛気臭く感じるが、いったん中に入ってスコアボードやスタンドを見渡すと全体的に非常にバランスが良く、思わずタメ息が出るほど美しい。また赤レンガ剥き出しの外野フェンスに絡まる蔦も見逃せない。たまに打球が蔦に絡まって野手が見失うなうという珍プレーも起こってしまう(見失ってもそのことを審判にアピールしなければプレー続行となりグラウンド・ルール・ダブルは適用されない)。
 この球場で一番人気のあるチケットはなんと言ってもブリーチャー(外野席)。ここに集うファンはブリーチャー・バムと呼ばれ、夏場は上半身裸(女性ならビキニ)で片時もビールを手放さず、相手チームを容赦なく野次り、敵のHRボールを誰かがキャッチしようものなら即座に「投げ返せコール」が起こる。21世紀になって以降のカブス人気は凄まじく、普通に球場へ行ってもブリーチャーのチケットはもちろん、いい席が買える事はまずない。フィールド・レベルの後ろ4分の1くらいはアッパーデックが頭上に覆い被さってフィールドがよく見えないので注意。名物は7回のセブンス・イニング・ストレッチ。名物アナウンサーのハリー・ケリーが健在だった頃は彼がマイクを持って放送席から身を乗り出すと球場中が彼の方を向いて"Take Me Out To The Ballgame"の大合唱になるのが常だった。彼が亡くなってからは毎試合それなりに名の知れたゲストを呼んで一緒に歌うカタチになっている。ちなみに球場の照明設備が整ったのはなんと1988年の事。シカゴからやって来たマイケル・ダグラス演じる刑事が松田優作・高倉健の両レジェンドにからむ映画『ブラックレイン』でもその話題に触れられているほど当時はビッグニュースだったようだ。もちろんそれ以前は全試合デーゲームで行われていた。現在でもほとんどがデーゲームで、ナイトゲームは週に一度あるかないかぐらい。
行き方:南のコミスキーに対してリグレーはダウンタウンの北側に位置する。ダウンタウンから地下鉄レッド・ライン(Howard-Dan Ryan線)を北へ、Addison Street 駅下車、スグ。試合終了後は尋常じゃない混み方をするので、一つ北のSheridan 駅まで歩いてから乗るのがよろし。
観戦したゲーム(9):
1997.06.27 Cubs vs. Astros
1997.06.28 Cubs vs. Astros
1997.06.30 Cubs vs. Royals
1997.07.14 Cubs vs. Astros
1997.07.19 Cubs vs. Rockies (DH)
2005.05.29 Cubs vs. Rockies
2005.07.25 Cubs vs. Giants
2016.07.15 Cubs vs. Rangers (interleague)

ピッツバーグ・パイレーツ
球場:PNCパーク
所在地:ペンシルヴェニア州ピッツバーグ
開場:2001年
収容人数:38,362人

photo by 球場巡礼

 1970年から使用していた"Three Rivers Stadium"に代わり2001年からホームとなったパイレーツにとって5代目の本拠地球場。座席から見えるダウンタウンのスカイラインやアルゲイニー川にかかるロベルト・クレメンテ・ブリッジがまるで風景画のようにキマっており、多くの球場マニアの間でアメリカで最高の野球場と言われている。スタンドから景色がきれいに見渡せるようにとスコアボードは端っこに寄せられ、センターからライトにかけては照明が1本もないという念の入れよう。キャパは4万に満たず、実際に球場に足を踏み入れると確かにこじんまりした印象を受ける。クリーム色の石灰岩を使用したもろクラシックな外観にネイヴィで統一されたシートや照明、鉄骨のコントラストが絶妙に美しく、数々のスポーツ・ファシリティの設計を手掛けてきた大御所HOK(現ポピュラス)の作品の中でも最高の仕事の一つと言えるだろう。試合開始前や試合が始まってからも暫くの間、橋を渡って球場へ歩いて来る人の列がスタンドから見えるのだが、その光景がなぜか心にしみる。球場内にはピッツバーグ市内で展開しているローカル・サンドウィッチ・チェーンの「プリマンティ・ブラザーズ」が入っている。ここのサンドウィッチは普通ならサイドとして添えられるべきフレンチ・フライズやコールスローが具としてパンに挟んであることで有名。ダウンタウンの店でも食べられるけど是非とも球場でトライしてほしい。
行き方:ダウンタウンの北側を流れるアルゲイニー川の北岸に建つ。ダウンタウンから6th St. を北へ行き、黄色く塗り直され新たにロベルト・クレメンテ・ブリッジと名付けられた橋を渡ったすぐ左(西側)が外野エントランスになっている。旧"Three Rivers Stadium"の東側。
観戦したゲーム(3):
2002.05.14 Pirates vs. Cardinals
2002.05.15 Pirates vs. Cardinals
2015.07.12 Pirates vs. Cardinals

セント・ルイス・カーディナルズ
球場:ブッシュ・スタジアム
所在地:ミズーリ州セント・ルイス
開場:2006年
収容人数:46,861人

photo by 球場巡礼

 ポピュラスの設計によるカーディナルズの3代目本拠地球場。ちなみにカーディナルズの本拠地球場は先代、先々代ともに"Busch Stadium"なのでそれらと区別するためにこの球場を"Busch Stadium V"と呼ぶこともある。2代目ブッシュ・スタジアムの南側に建設され、2006年4月10日のブルワーズ戦にて本格的にオープンした。セントルイスの町並に合わせるため外観・内装は赤レンガ装飾とムキ出しの鉄骨をメインに用いたガチガチのレトロ・クラシック様式となっている。ネーミング・スポンサーはセントルイスに本社を構えるアンハイザー・ブッシュ社。球場内で売られているビールはもちのろんバドのワイザー。町のシンボルであるゲートウェイ・アーチとダウンタウンのそれほどでもないスカイラインがセンター方向に見えるように外野がパックリ開いているのは最近の球場のトレンド。シートはすべてチームカラーと同じエンジがかった赤。赤いキャップに赤いTシャツとゆうファンのイデタチで球場は文字通り赤一色となる。スタンドはほぼシンメトリーで1塁側が4層、3塁側が3層になっている。驚いたことにコンコースはスタンド裏に設置されていて、売店で買い物したり場内をぐるぐる周遊しながらゲームを見ることはできない。20世紀末以降に新設された球場でオープン・コンコースを採用していないのはかなり珍しい。ただしスタンド内を左右に動ける通路はロウワーレベルのチケットを持っていなくても簡単に入ることができ、白線の内側なら内野のかなりいいポジションで立ち見ができる。アッパーデックにはこれまたドレトロな鉄骨の屋根がかかっており、照明の鉄骨もおなじようなレトロな雰囲気。球場だけでなく、ユニフォームやロゴなど、このチームに関しては端から端まですべてが王道のレトロ・クラシックでまとめられており、ナショナル・リーグきっての名門であることのプライドがビシビシと感じられる。
 隣接する旧ブッシュ・スタジアムの跡地にはゲーム前やゲーム終了後にお客さんにお金をおとしてもらうための"Ballpark Village"と呼ばれる商業施設が2014年に完成。カーディナルズの殿堂博物館やメモラビリアで埋め尽くされたカーディナルズ・ネイション・レストランなどが入っている。また旧スタジアムの内野にあたる部分はちょっとしたイベント広場になっており、ベースやアンツーカの箇所だけブロックが色分けされていて一目でわかるようになっている。旧スタジアムの正面に飾ってあったスタン・ミュージアルの巨大なスタチュは現在8th St. 沿いにあるゲート3に移設されている。また8th St. とClark Ave. のコーナーにあるメインゲート前にはオジー・スミスやボブ・ギブソン、ルー・ブロックらレジェンドに加えて、セント・ルイス・ブラウンズでプレイしていたジョージ・シスラーや二グロリーグのクール・パパ・ベルのスタチュも展示されている。
行き方:ダウンタウンの南の端。8th. St. とClark Ave. とBroadway とハイウェイI-64に囲まれた区画にスッポリと収まっている。メトロリンク(近郊列車)を利用する場合はもちろんStadium駅で下車スグ。
観戦したゲーム(2):
2014.06.20 Cardinals vs. Phillies
2014.06.21 Cardinals vs. Phillies

シンシナティ・レッズ
球場:グレート・アメリカン・ボール・パーク
所在地:オハイオ州シンシナティ
開場:2003年
収容人数:42,271人

photo by 球場巡礼

 設計を手がけたHOK(現ポピュラス)が独特の風貌で評判の良い"Progressive Field"のコンセプトを使い回したのは明かで、誤解を恐れずに言うと"Progressive Field"の廉価版ボールパーク。オハイオ州内のチーム同士という事で統一感を出すために意図的に似たようなデザインにしたのかも知れない。たいそうな名前はネーミング・スポンサーである地元の保険会社。
 旧"Cinergy Field"と同じくオハイオ川のリバーサイドに建っており、スタンドからはオハイオ川に架かるレトロな鉄橋とシンシナティのダウンタウンとは全く趣の異なる川向こうの町ケンタッキー州コビントンが見える。とても穏やかなノンビリとした眺望だ。このスタジアムの特徴は前述した通り"Progressive Field"のパクリである白くペイントされた鉄骨ムキ出しの外観と歯ブラシ型の照明灯、そしてバックネット裏辺りで完全に分断されているグランドスタンドだろう。スタンドをぶった切るのにどういった効果があるのかイマイチよくわからないが、スタンドとスタンドの間はポッカリ空いた空間になっていてデザイン的にはそれなりにインパクトはある(その空間は"The Gap"と呼ばれているらしい)。もちろん継ぎ目を境にスタンドの構造が変わっていて、3塁側は3層、1塁側は基本2層+中2階はスイートてな具合。シートは全席チームカラーの赤に統一されており白とのコントラストがくっきり鮮やか。スコアボードはレフト側ブリーチャーの上に配置されているが、横長な上にスクリーンがちっこいので正直見づらいったらありゃしない。全体的な印象としては、狭いの一言に尽きる。球場周辺のスペースがあまり広くないし、外野スタンド及びコンコースはすぐ後ろにストリートが迫っている事もあって非常にキュウクツ。メジャーの球場はやはりスペースを贅沢に使って「金かけてまっせ!」的な風格を全面に出してほしい。箱庭のような限られたスペースにムリヤリ押し込みました、では「廉価版」との評も仕方なしか。
 球場内のオフィスビルにはCincinnati Reds Hall of Fame & Museumが併設されており、当日の試合のチケットを持っていると$5.00で入場できる。試合前の時間潰しと言うにはもったいないくらいの充実した展示内容で、ここに入ると外からではよくわからない1塁側Main St. 沿いの一角にある"Rose Garden"の秘密がわかる仕掛けになっている。
行き方:ダウンタウンのMain St. を川の方へ(南へ)、インターステイト71号線を越えたMain St. & 2nd St. がメイン・エントランスとチケット売り場になっている。ダウンタウンから歩いても10分もかからない。球場の隣には"U. S. Bank Arena"が隣接しており、NFLベンガルズの"Paul Brown Stadium"も近い。
観戦したゲーム(2):
2005.07.16 Reds vs. Rockies
2005.07.17 Reds vs. Rockies・・・CINのケン・グリフィ・ジュニア通算521号HR

ミルウォーキー・ブリュワーズ
球場:アメリカン・ファミリー・フィールド
所在地:ウィスコンシン州ミルウォーキー
開場:2001年
収容人数:41,900人

 本来は2000年の開幕に合わせてオープンするハズだったが、工事中にクレーンが倒れ死者が出るという痛ましい事故が起こり工事が1年遅れて2001年にオープンした。どちらかと言えばこじんまりとしたドームっぽいの開閉式屋根付き野球専用スタジアムで、スモール・マーケットのミルウォーキーにはちょうどよいサイズだと思われる。レンガ装飾の外観や時計台、扇形に開閉するユニークな鉄骨ムキ出しの屋根がいい雰囲気なのだが、中に入ってみるとドーム球場のような狭苦しさを感じる。内野のコンコースはそれほどでもないが外野のスコアボード裏のコンコースは非常に狭く、人が頻繁に行き交うゲーム前などは「エクスキューズ・ミー」連発で通らなければならない。また、屋根で金を使いすぎたのかスコアボードがちっこくて普通にオソマツ。一方狭いならではの長所もある。内野のフィールドレベルは奥行きがない上に傾斜もあまりなくフィールドから異様に近いのでだいたいどこに座っても臨場感タップリの観戦ができる。実際に行ってみればわかるが他の球場よりかなり近いので驚く。
 新球場に移ってもここではセブンス・イニング・ストレッチより人気がある名物ソーセージ・レース、ピッチャー交代の時にフィールドを一周するハーレー・ダビッドソンのバイク(ハーレーは1903年にミルウォーキーで創設された)、ブリュワーズの選手がHRを打った時にすべり台を滑る(しか芸のない)マスコットのバーニー・ブリュワーなど、内輪のローカルネタは全然変わっていない。開場以来長らく地元のビール会社のミラーがネーミング・スポンサーを務めていたが2021年から新に保険会社がスポンサーとなり現行の名称に改められた。
行き方:試合のある日は球場行きのバス"Ballpark Express"が出る。出発はダウンタウンのグランド・アヴェニュー・モールの前(Wisconsin Ave. 沿い)からで、Wisconsin Ave. のバス停に頻繁に停まる。試合終了後も降りた場所からダウンタウン行きのバスが出る。あるいは同じくWisconsin Ave. を走る#10のバスでも球場の近くまで行ける。ダウンタウンから乗って右手にミラー・ビールの工場が見えてきたら、というか左手に球場が見えたら下車。バス停から球場までは徒歩10分ぐらい。
観戦したゲーム(2):
2001.04.14 Brewers vs. Giants
2001.04.15 Brewers vs. Giants