サウス・アトランティック・リーグ

First National Bank Field (Greensboro, NC)
Truist Stadium (Winston-Salem, NC)
Maimonides Park (Brooklyn, NY)
Fluor Field at the West End (Greenville, SC)
McCormick Field (Asheville, NC)
Daniel S. Frawley Stadium (Wilmington, DE)
 

グリーンズボロ・グラスホッパーズ
球場:ファースト・ナショナル・バンク・フィールド
所在地:ノース・カロライナ州グリーンズボロ
開場:2005年
収容人数:7,499人

・球場の周囲には次々にコンドミニアムが建設されていて当時は再開発の真っ最中だった。
・この球場がオープンする前年の2004年までグラスホッパーズ(当時の名前は"Greensboro Bats")が使用していた"War Memorial Stadium"はまだ現役の球場として健在。1926年にオープンしたフットボールとの兼用スタジアムで合衆国の歴史的建造物に登録されている。グリーンズボロに行く機会があれば必ず立ち寄ってみるべし。
行き方:ダウンタウンの北にあり、グリーンズボロで一番賑やかな通りであるElm St. から歩いて10分もかからない。グレイハウンドのバスターミナルからも歩いて20分ほどだが、グレイハウンドのバスターミナルは市バスのバスターミナルも兼ねているので(アムトラックの駅も兼ねている)、ここからバスで行くことも可能。バスは1回$1.50。
観戦したゲーム(1):
2017.07.21 Greensboro Grasshoppers vs. Greenville Drive

ウィンストン-セーラム・ダッシュ
球場:トゥルーイスト・スタジアム
所在地:ノース・カロライナ州ウィンストン-セーラム
開場:2010年
収容人数:5,500人

・球場内をぐるっと周遊できる。
・ネーミング・スポンサーは南北カロライナやジョージアをナワバリにしている大手銀行。ここ以外にもMLBブレーブスの球場を含めて2〜3球場のスポンサーを務めているので混同しないように。オープンから2020年までは"BB&T Ballpark"と呼ばれていたが、BB&T社とサン・トラスト・バンクとの統合により新しいブランド名である「トゥルーイスト」に変更された。
行き方:ダウンタウンの南西。
観戦したゲーム(1):
2017.07.20 A Carolina League : Winston-Salem Dash vs. Salem Red Sox

ブルックリン・サイクロンズ
球場:マイモニデス・パーク
所在地:ニューヨーク州ブルックリン
開場:2001年
収容人数:6,500人

photo by 球場巡礼

 オープンするや否やマイナーリーグ業界はおろか世界中の球界に衝撃を与えた話題の球場。半世紀ぶりにブルックリンにプロフェッショナル・ベースボールが戻ってきた事(*)やコニー・アイランドという立地の良さなど、ノスタルジックでもあり新しくもある要素がNY周辺の住人におおいにウケた。キャパは6,500人なので驚く程デカい球場ではないが、2002年は1試合平均で8,345人もの観衆を集めた(という事は立ち見が毎試合2,000人も?)。チームは元はカナダのセント・キャサリンズ(オンタリオ州)という小さな町をホームにしていたが、2000年からヤンキースとメッツの特別な許可を得てNYに移転してきた。しかし新球場が完成するまでの1シーズンは"Queens Kings"という3秒で決めたようなどうでもいい名前でクイーンズにあるセント・ジョンズ大学の球場を借りてプレイしていた。満を持して移ってきたこの新しく建設された球場は意外な事に流行のネオ・クラシック調には全く見向きもせず、むしろ近未来的で斬新なデザインが目を引く。円形のネオン管をほどこした他に類を見ない照明や、ストリートに面した一面ガラス張りのチームストア、コンコースを覆うギザギザ屋根など見た目がかなり個性的。バックネット裏には2階分のスイートを備え、外野にはこのレベルのマイナーには珍しくライト側にブリーチャーが用意されている。外野席へは途中でボードウォークに変わる1塁側コンコースからアクセスでき、このボードウォークは球場を突き抜けて外まで延びており、ビーチを通り越して海に突き出た本物のボードウォークまで一直線でつながっている。スタンドからはライト側に海、レフト側にはチーム名の由来になった木製のローラー・コースター「サイクロン」が見える。球場のネーミング・スポンサーは地元ブルックリンの病院で2021年の開幕から現行の名称に変更された。
*ブルックリンの"Ebbets Field"をホームにしていた"Brooklyn Dodgers"は1957年のシーズン終了後にロサンジェルスに移転。それ以降2001年までブルックリンにプロフェッショナル・ベースボール・クラブは存在しなかった。ドジャースを移転させた当時のオーナー、ウォルター・オマリー氏へのブルックリン市民の憎しみは有名。
行き方:球場はコニー・アイランドのビーチ沿いにあり、マンハッタンから地下鉄W線1本で行ける。タイムズ・スクエアからの所要時間は約45分、終点のConey Island/Stillwell Ave.駅で下車。駅から球場までは歩いて約5分。駅を出て海の方へ1ブロック、Surf Ave. に出たら右手に例の照明が見える。球場の手前には大食い大会で有名なホットドッグ屋Nathan'sの本店がある。Nathan'sは支店が世界中にあるが本店がどんな味なのか気になる人はどうぞ。
観戦したゲーム(2):
2003.07.09 SS-A New York-Penn League : Brooklyn Cyclones vs. New Jersey Cardinals
2010.07.01 SS-A New York-Penn League : Brooklyn Cyclones vs. Staten Island Yankees

グリーンヴィル・ドライヴ
球場:フルーアー・フィールド
所在地:サウス・カロライナ州グリーンヴィル
開場:2006年
収容人数:5,700人

photo by 球場巡礼

 レッド・ソックス傘下のチームの為に造られたミニ・フェンウェイ・パーク。レフトにそびえるグリーン・モンスターをはじめ、手差しのスコアボードや外野の形状などをそっくりそのまま再現。また球場と同時に建設された外野のレトロなビルディング(オフィスやコンドミニアムとして分譲)はもちろんカムデン・ヤーズのコピー。元々グリーンヴィルにはブレーヴス傘下のダブルAのチームが長らく居座っていたが、"Greenville Minucipal Stadium"の老朽化が原因で2004年シーズンを最後にミシシッピ州へ移転している。すると市はあわてて新球場の建設を発表。それならばとサウス・キャロライナ州の州都コロンビアから移転してきたのが現在のチーム。2005年シーズンは新球場が間に合わなかったので"Greenville Bombers"という名前で前述の"Greenville Minucipal Stadium"で過ごし、翌2006年から町の自動車産業に縁のある"Drive"に改名し、当球場をホームとするようになった。
 球場は寂れ果てたダウンタウンの西側の再開発プロジェクトの一環として計画された。シングルAにぴったりなほどよいキャパと、朽ち果てたようなボロレンガ装飾を多用した個性的な外観が辺りの雰囲気にうまくマッチしている。開放的なオープン・コンコースに芝生席やベンチシート、テーブル席、バーなどが用意されおり、様々な観戦スタイルを選ぶ事ができる。オープン以来着実にファミリー層を取り込み、現在ではリーグを代表する人気チームになっている。またボストンには縁もゆかりもない土地柄だが、何故かレッドソックス傘下という金看板を得る事ができたのもかなりの強み。メイン・エントランスはレフトの芝生席の向こうにある。入ってすぐ芝生席があり、その眼下にフィールドが広がるとう構造はなかなかのインパクト。残念なのは外野に観戦スペースがないのと、外野そのものが行き来できない事。フェンスのすぐ裏に鉄道が走っているので仕方ないが、これはちょっともったいない。またブルペンも外野にあるので、ファンはブルペンの様子を一切見る事ができない。スタンドは基本1層でバックネット裏にのみ2階席がある。座席は値段によってグリーン、ネイビー、赤に塗り分けられているが、これはかえって散漫な印象を与える。まぁ、カンペキな球場ではないが、このレベルにしてはがんばってええもん造ってみました、という意気込みは十分に伝わってくる力作である。
 球場の外にはグリーンヴィルの近郊で生またれた伝説の名選手シューレス・ジョー・ジャクソンの生家が移築されており、現在はミュージアムとして公開されているので要チェック(見学は事前に予約が必要)。実は当初このチームはジョー・ジャクソンのファースト・ネームにあやかって"Joes"という名前になるはずだった。しかし彼はブラック・ソックス事件で球界を永久追放されているのでマイナーリーグ事務局から認可が下りず、"Greenville Joes"はマボロシとなった。
行き方:グリーンヴィルは逆三角形をしたサウス・カロライナ州の左(西)の角あたりに位置する中都市。州内では第5の町だが周辺のアンダーソンやスパータンバーグなどの都市を含めると、州内で1位の人口をかかえるメトロポリタン・エリアになる。
 球場はダウンタウンの西のはずれに位置する(そのため開場から2008年4月までは"West End Field"と呼ばれていた)。行き方は簡単。ダウンタウンのMain St. をひたすら西へ歩く事約20分、徐々に場末っぽい風景になり、踏切を越えると左手に球場が見える。通りで言うとMain St. & Markley St. がメイン・エントランスになっている(Main St. はダウンタウンの中心では南北に走っているが、途中Reedy River Falls Historic Park にぶつかって西に向きを変える)。なお、ダウンタウンの真ん中にあったグレイハウンド・バスのターミナルはいつの間にかダウンタウンの10マイルほど東に移転してしまった。
観戦したゲーム(1):
2006.05.14 Greenville Drive vs. Hickory Crawdad

アッシュヴィル・ツーリスツ
球場:マコーミック・フィールド
所在地:ノース・カロライナ州アッシュヴィル
開場:1992年
収容人数:4,000人

photo by 球場巡礼

 アメリカの伝統芸能とでも言うべき昔ながらの小規模マイナーリーグの本来の姿が程よい状態で保存・公開されている博物館的な球場。特別に人気があるわけでもなく、球場に決定的なウリがあるわけでもなく、ロゴがかっちょよくてグッズの売り上げが良いわけでもない。全てが普通なゆえにある意味究極のマイナーリーグチームと言える。
 球場の歴史は古く、1924年に完成した初代の球場ではエキシビションゲームでベイブ・ルースやルー・ゲーリッグらのレジェンド達がプレイしていたらしい。現在のは1992年に全面的に建て直された2代目だが、この事実を知らなければ恐らく普通に古い球場だと思うだろう。1992年のマイナーリーグ界にはまだネオ・クラシック様式なる概念はなかったはずなのに、新しくデザインされた球場は見事なレトロ調のボールパーク。アーチ型の装飾を施したレンガ造りの外観や、クラシカルなカバーに覆われたシンプルなスタンド、旧球場時代から名物だった外野の高いフェンス(外野までのキョリが短いための苦肉の策)をそのまま残すなど、当時としては逆に斬新な「新球場」だったに違いない。旧球場の雰囲気をそのまま踏襲したいというチームの思いがビシビシと伝わってくる、実に居心地の良い球場である。隣接する山の上にあるフットボール場からは眼下に球場や町全体が見渡せるので行ってみるといい。
 実はこの球場、あの名作野球映画『さよならゲーム』の本編に登場している。物語の後半でケヴィン・コスナー演じるベテラン捕手クラッシュがブルズを放出されるのだが、そのトレード先が他でもないアッシュヴィル・ツーリスツ。映画のロケが行われた1987年当時はまだ旧球場だった。映画を見る限り球場の雰囲気や外野のフェンスはほとんど変わっていないようなので、興味のある方はDVDでチェックして頂きたい。ちなみに球場内の球団オフィスには撮影でケヴィン・コスナーが着用したツーリスツのユニフォームが飾ってあるらしい(言えば見せてくれるとの事)。
行き方:アッシュヴィルは東西に長細いノース・カロライナ州の西端近くにある、山に囲まれたスモールタウン。静かで文化的な香りのする町はブラブラほっつき歩くのに最適で、アメリカでも「住むには理想の町」としてかなり評価されているらしい。
 球場はこぢんまりとしたダウンタウンの南、町の中心を南北に貫くBiltmore Ave. とS. Charlotte St. の交差点近くにある。正確には球場へ向かう参道のようなMcCormic Pl. という脇道沿いにあるのだが、上記の交差点近くまで行けば山の裾野あたりに球場が見えるだろう。ダウンタウンのシティ・バスのターミナルからはHilliard Ave. を東へ徒歩10分弱。Biltmore Ave. まで歩けば南方向に照明灯が見える。
観戦したゲーム(2):
2006.05.12 Asheville Tourists vs. West Virginia Power
2006.05.13 Asheville Tourists vs. West Virginia Power

ウィルミントン・ブルー・ロックス
球場:ダニエル・S・フロウリー・スタジアム
所在地:デラウェア州ウィルミントン
開場:1993年
収容人数:6,537人

photo by 球場巡礼

 "Judy Johnson Field at Daniel S. frawley Field"というのが正式名称で2人のヒーローに捧げられている。正面入口に銅像も建っているジュディ・ジョンソンはウィルミントン出身のニグロ・リーガーで1975年には殿堂入りも果たした名選手。ダニエル・フロウリー氏は、マイナーの球場名にはよくあるケースだが、チームの誘致に尽力した当時の市長。一風変わったチーム名の"Blue Rock"とは地元の川で採掘される鉱石の種類との事。
 人気チームだけにハード、ソフトの両面が充実している。球場の外観はレンガ色のレトロ調なのでその路線か?と思わせといて中はチーム名同様鮮やかなブルーで統一されてるという罠。フィールドをグルリと囲む大規模なスタンドからはダウンタウンのスカイラインがよく見えて心地よい。スイート完備の2階席や、外野席はないが3塁側にはブリーチャーがある、などほとんどダブルAクラスのグレード。チームストアはマスコットやロゴをあしらったキャップ、Tシャツ類が豊富で充実の品揃え。イニング間のプロモーションもほぼ毎イニング行われ、場内は常に賑やかだ。人気チームはかくあるべし、という見本のような球場。
行き方:デラウェア州最大の都市ウィルミントンは州の北端、デラウェア川のほぼ河口部分に位置しフィラデルフィアから電車・バスでわずか1時間。
 球場はダウンタウンの東側、再開発が進むクリスティーナ川沿いのリバーフロント地区にあり、ダウンタウンを循環しているトロリーバスで行く事ができる。リバーフロント地区にはアウトレットモールやレストラン、ミュージアムなどがあるがそれほど栄えてるワケではない。グレイハウンド・バス/アムトラックの駅からだと徒歩でも余裕。川沿いのリバーウォーク(遊歩道)をリバーフロント地区の方へブラブラ歩いて約20分。右手に球場が見える。
観戦したゲーム(1):
2003.07.01 A Carolina League : Wilmington Blue Rocks vs. Lynchburg Hillcats