パシフィック・コースト・リーグ

Constellation Field (Sugar Land, TX)
Dell Diamond (Round Rock, TX)
Greater Nevada Field (Reno, NV)
Smith's Ballpark (Salt Lake City, UT)
Chickasaw Bricktown Ballpark (Oklahoma City, OK)
Cheney Stadium (Tacoma, WA)
Sutter Health Park (Sacramento, CA)
 

シュガー・ランド・スペース・カウボーイズ
球場:コンステレイション・フィールド
所在地:テキサス州シュガー・ランド
開場:2012年
収容人数:7,500人

Photo by 球場巡礼

・元々は2012年に創設されたアトランティック・リーグのエクスパンション・チームだった。リーグは当時アメリカ北東部にしかチームを置いていなかったが急にはるか離れたテキサスへ進出してきたのでとても驚かされた。
・実はこの球場は当時パシフィック・コースト・リーグのオマハ(ネブラスカ州)を誘致するために計画された。しかしシュガー・ランドのすぐ近くに陣取るアストロズが我がのナワバリを荒らされると危惧したため移転を許さず、オマハは結局新球場を造ると約束した郊外の町に移っただけで動かなかった(それが現在のオマハ・ストーム・チェイサーズ)。しかし球場の建設計画は進められ、ある程度の動員を見込めて経営が手堅いことで評判のアトランティック・リーグのチームを誘致することとなったわけ。
・球場は新興住宅街のようなところにあり、周りには駐車場と民家くらいしかない。
・外観はサンドストーンのレンガで装飾され、スタンド席は全て一人掛けのハネ上げイス。キャパやアメニティはトリプルAレベルくらいの貫禄はある。オープンからしばらくは1試合平均6000人以上集める優良クラブだったが、やはり徐々に飽きられて2010年代半ばくらいからは4000人台で推移している。
・球場の構造自体は特に何も見るモノはない。オーソドックスそのもの。唯一の特徴はテキサス州のカタチをしたビジョンボード。
・スコアボードはフェンウェイ・パークのようなマニュアル式のやつが右中間のウォールに埋め込まれている。
・外野は芝生席、アイランド・スタイルのバー、キッズのプレイグラウンド、グループ用のプール、バスケのコートなどゲームを見ない人のための娯楽が充実している。特にバスケのコートは人気でいつ見ても賑わっていた。
・ヒューストンに近いこともあり、アストロズに縁のある選手がプレイしてきた。有名なのはロジャー・クレメンス、スコット・キャズミア、ジェイソン・レーン(バッターからピッチャーへ転向)、ウィリー・タベーラスなど。変わりダネではNBAロケッツ他でプレイしたトレイシー・マグレイディがNBA引退後にピッチャーとして加入したこともある。
・私が見たゲームでは元ドジャーズのジェイムズ・ローニー、元フィリーズのコディ・アッシュ、元オリックスのマット・ウエストらがスキーターズでプレイしていた。
・2020年のシーズン終了後、マイナーリーグ全体にテコ入れがなされ、突如あの因縁の相手アストロズからパートナーに指名されてトリプルAに昇進することとなった。ちょうど観客動員も落ちてきて苦しかったところなのでシュガー・ランドにとってはまさに渡りに船だった。
・2021年のオフには親球団であるアストロズとより関係を強固なモノにするため宇宙つながりの「スペース・カウボーイズ」というマイナー全体でもかなり色モノ的なチーム名に変更された。
行き方:シュガー・ランドはヒューストンの南西にあるベッドタウン。ヒューストンのダウンタウンの南にあるTexas Medical Center からシュガー・ランドのFirst Colony Mall というショッピング・モールまでFort Bent Express という病院職員のための通勤用バスが運行されている。片道5ドルで所要時間は約30分。午前はシュガー・ランド発の便、午後はヒューストン発の便しかないのでヒューストンから日帰りはできない。ヒューストンのダウンタウンからテキサス・メディカル・センターへはメトロレイルのレッド・ラインで。シュガー・ランド市内には路線バスはないのでモールから球場まではタクシーかウーバーで。
観戦したゲーム(1):
2019.04.29 Atlantic League : Sugar Land Skeeters vs. Southern Maryland Blue Crabs

ラウンド・ロック・エクスプレス
球場:デル・ダイヤモンド
所在地:テキサス州ラウンド・ロック
開場:2000年
収容人数:11,631人

・元々ダブルAの球場なのでそれほど大きくはない。

行き方:公共の交通機関で球場まで行く方法はない。ラウンド・ロックへはグレイハウンド・バスで。バスターミナル近くのモーテルに宿を取って、そこからはタクシーかウーバーで。ラウンド・ロックへはオースティンのダウンタウンから近郊列車+路線バスでもアクセスできる。球場から最も近いバスストップで降りて歩くことはできるがナイトゲーム終了後はバスは走っていない。
観戦したゲーム(2):
2019.04.27 Round Rock Express vs. New Orleans Baby Cakes
2019.04.28 Round Rock Express vs. New Orleans Baby Cakes

リノ・エイシーズ
球場:グレーター・ネヴァダ・フィールド
所在地:ネヴァダ州リノ
開場:2009年
収容人数:9,100人

Photo by 球場巡礼

・アリゾナ州トゥーソンでプレイしていたAAAトゥーソン・サイドワインダーズを迎えるためにダウンタウンに造られた新球場。それほどお金をかけて造った感じはなくキャパもそれなり。
・「エイシーズ」という名はトランプのA(エース)からとられた。チームロゴやユニフォームの書体もトランプっぽくなっている。さすがカジノの町。
・2009年のオープンから2015年までは単に"Aces Ballpark"と呼ばれていたが、2016年3月から地元の金融会社がネーミング・スポンサーとなり現在の名称に改められた。
・リノは1950年代〜90年代まで長らくシングルAカリフォルニア・リーグの縄張りだったが1992年を最後にMLB傘下のマイナーリーグは撤退していた。
行き方:ダウンタウン内。たいがいのカジノホテルから歩いて行ける。
観戦したゲーム(2):
2011.09.01 Reno Aces vs. Fresno Grizzlies
2011.09.02 Reno Aces vs. Tucson Padres

ソルト・レイク・ビーズ
球場:スミス・ボールパーク
所在地:ユタ州ソルト・レイク・シティ
開場:1994年
収容人数:15,411人

photo by 球場巡礼

 石橋貴明が主演した映画『メジャーリーグ3』で"Buzz(バズ)"というチーム名を「ブンブンズ」と訳した人がいる。実にうまいこと訳したもんである。その"Buzz"の元ネタになったのがこのチーム。1994年にオレゴン州ポートランドから移転してきたチームはNBAの"Utah Jazz"にあやかって"Buzz"と名付けられた。当時はまだ珍名のスポーツチームが珍しかったこともあり結構持てはやされた。しかし以前からミツバチのマスコットに"Buzz"と名付けていたジョージア工科大学からクレームが付き、2002年からチーム名は"Stingers"に変更を余儀なくされた。その名前で4シーズンを過ごしたが普通すぎてぱっとしなかったのか、2006年に3度目の改名を行い現行の名前に落ち着いた。"Bees"は1915年から1926年まで同リーグに存在した伝統のある名跡で、それが現代に復活を遂げたのは非常に喜ばしい。
 球場はオーソドックスなネオ・クラシック様式。ネーミング・スポンサーは2014年から地元のドラッグストア・チェーンに変わった。球場がオープンした1994年と言うとこの手のデザインのスタジアムがマイナーリーグにも進出し始めた最初期だが、既にこの時点で文句のつけようのない完成度を誇っているのには驚かされる。レンガ造りのレトロな外観や他の球場でもちょこちょこ見られるタワーに挟まれた立派なエントランス、場内を周回できるオープン・コンコース、企業の接待用ラグジュアリー・スイート、ダブルデックの屋根付きスタンド、広い芝生席、キッズの遊び場、グループ客のためのピクニック・エリアなど、マイナーの球場に必要なモノはあらかた揃っている。これらがオープン当時から完備されていたかどうかは分からないが、その後、雨後のタケノコのようにデビューした新球場と較べてもなんら遜色はない。フィールドはレフトがやや短くなってはいるが変形と言うほどでもなく、球場と同様にオーソドックスな造り。
 この球場の魅力は何と言ってもその景観。全ての座席から外野方向に地肌ムキ出しのワサッチ山脈がすぐそこに見える。山の見える球場なんていくらでもあるが、このタイプのゴツゴツした山は昔の西部劇を連想させ、開拓時代のノスタルジックな気分を演出してくれる。それが妙にベースボールとマッチしているのだ。特に夕暮れ時のマジックアワーの美しさは秀逸。山間の町なので真夏でもサンダーストームが来ると気温は一気に下がる。観戦の際は必ず防寒着の用意を。

 【追記】 2009年4月に自動車事故で死亡したエンジェルズのニック・エイデンハート投手は2008年シーズンをソルト・レイクで過ごした。彼の死を悼み、2009年シーズン中は1塁側ダグアウト前にBees時代の背番号32がペイントされていた。
行き方:ソルト・レイク・シティは州内最大の町にして州都でもある。モルモン教の聖地として有名だが、冬はスキー・リゾートへの玄関口としても有名で2002年には冬季オリンピックも行われた。4大スポーツの中ではNBA(ニュー・オリンズから移転してきたジャズ)だけがフランチャイズを置いている。球場はダウンタウンの南のはずれにあり、ライトレール"TRAX" Salt Lake/Sandy Lineの"Ballpark 1300S"駅から1ブロック。メイン・エントランスはWest Temple & 1300 S になる。ナイトゲーム終了後でもTRAXは走っているのでダウンタウンへ戻ることができる。
観戦したゲーム(2):
2009.06.23 Salt Lake Bees vs. Fresno Grizzlies
2009.06.26 Salt Lake Bees vs. Fresno Grizzlies・・・フレズノのケイイチ・ヤブが9回に登板、4安打3失点で炎上

オクラホマ・シティ・ドジャース
球場:チカソー・ブリックタウン・ボールパーク
所在地:オクラホマ州オクラホマ・シティ
開場:1998年
収容人数:13,066人

photo by 球場巡礼

 メジャー級、とまではいかないが90年代当時のマイナーリーグでは最上級クラスの球場。ライトポールを巻き込んで外野にまで続いている屋根付きの壮大なアッパーデックは圧巻。球場はブリックタウンと呼ばれる旧市街の一画に位置し、そこいら一帯は昔のレンガ造りの建物を利用したレストランやバーが軒を連ねるちょっとこじゃれたナイトスポットになっている。もちろん球場の外観もその町並みに合うようにレトロ調のデザインが取り入れられていて、フォレスト・グリーンの鉄骨やレンガ造りの重厚なエントランスはブリックタウンに違和感なく溶け込んでいる。スタンドは2層でバックネット裏の2階にはスイートが、レフト外野側の2階にはレストランが完備。外野スタンドはライト側が芝生席、レフト側がブリーチャーになっている。その外野スタンドやコンコースから見下ろせるところにブルペンが設置されており、この辺りの造りがメジャーに最も近いマイナーの球場のひとつ、と言われる所以かと思われる。左右非対称の巨大なスタンドは迫力があって視覚的にもカッコよく、スタンド周りのコンコースもスペースが豊富で狭苦しさは一切感じない。照明がちゃっちいのに目をつぶりさえすれば、非の打ち所のない非常に完成された球場である。ちなみにオクラホマではセブン・イニング・ストレッチの代わりに全員で「オクラホマ・ミキサー」を踊る…なんてこたぁない。あれば楽しいのだがね…。
 いい球場は地元のヒーローを讃える事も忘れてはいない。メイン・エントランスには地元出身のレジェンド ジョニー・ベンチの大きなスタチュが建っているのでカメラの準備を!また球場の横を通るストリートにはオクラホマ出身のもうひとりのレジェンド、ミッキー・マントルの名前が付けられている。新球場が完成する前はチームは"Oklahoma City 89ers"という名前で1962年オープンの"All Sports Stadium"でプレイしていた。
行き方:クラホマ・シティは田舎の代名詞オクラホマ州の州都で州のほぼ中央に位置する。ダウンタウンは高層ビルが並ぶ近代的でクリーンなビジネスシティ。4大スポーツでは2008-09年シーズンからNBAサンダーがフランチャイズを置いている。ブリックタウンはダウンタウンの東側(線路の東側)一帯に広がっており、通りでいうとReno Ave. & Walnut Ave. (Mickey Mantle Dr. )が球場のメイン・エントランスになっている。ダウンタウン内からなら徒歩で行けるし、ダウンタウンを巡回している"Oklahoma Spirit"というトロリーバスが球場の前を通る(運賃は$0.25)。グレイハウンド・バスのターミナルからはSheridan Ave. をひたすら東へ徒歩約20分。線路をくぐれば右手(南側)に球場が見えてくる。
観戦したゲーム(1):
2005.06.06 Oklahoma Redhawks vs. Albuquerque Isotopes

タコマ・レイニアーズ
球場:チェイニー・スタジアム
所在地:ワシントン州タコマ
開場:1960年
収容人数:9,600人

photo by 球場巡礼

 タコマはマック鈴木が一時所属していたことがあるのでファンにはお馴染みのチームだろう。私が初めてマイナーの試合を見たのがここタコマで、その日に偶然マックが3番手として登板、1回2/3を投げて1失点だった。タコマは1904年からパシフィック・コースト・リーグに加盟していた由緒正しいベールボール・タウン。一時空白期間があったものの現球場が完成した1960年以降は常にパシフィック・コースト・リーグのメンバーとして活動を続けてきた。球場名は球場建設に尽力したベン・チェイニー氏にちなむ。彼は現在銅像となってピーナッツを食べながらネット裏で観戦している。
 トリプルAの球場としてはもはや最低ランクの球場だが、ハトのフンがひっつきまくってる木製の座席、広告だらけの外野フェンス、よく見ればかなりイイ雰囲気を醸し出してるオールド・スタイルの照明など昔ながらの風情があってそんなに悪くはない。1ヶ月半という短期間の突貫工事で建設されたらしく、やけに年季の入った座席と照明はサン・フランシスコの"Seals Stadium"(*)からそっくりそのまま持ってきたとのこと。あの座り心地の悪さとデザインはタダ者ではないな、と思っていたがどおりて!インフィールドの座席はほとんど屋根に覆われておりデーゲームでも快適に観戦できる。3塁側にはピクニック・エリアがあり、そこからは日系住民から「タコマ富士」と呼ばれている雄壮なレイニア山がきれいに望める。

【追記】その後球場は大改装され、2011年のオープニングデイにリニューアル・オープンした。現在の状況がどうなっているかはまだよくわからないが木製のシートはまだ残されているとのこと。早急に確認に行きたいがなかなか機会が…。
*シールズ・スタジアム・・・まだサン・フランシスコにメジャーが来てなかった頃に存在したパシフィック・コースト・リーグの"San Francisco Seals"の本拠地。SF出身のジョー・ディマジオがヤンキースと契約する前にプレイしていた事でも有名。MLBジャイアンツも西海岸へ移転したての頃、"Candlestick Park"が完成するまでの1958年と59年の2シーズンのみ本拠地として使用したことがある。
行き方:タコマはシアトルの南、バスで約1時間のところにある小さな町。シアトルから公共の交通機関を使用して日帰り観戦ができる。まずシアトルのダウンタウンから#594のエクスプレス・バスでタコマの10th St. & Commerce St. のバス・ターミナルへ。料金は$2.50。#594のスケジュールはトンネルバスのウエストレイク・センター駅のインフォメーションでもらえるので帰りのバスを予めチェックしておくべし。バスから降りる時に必ずトランスファーをもらい、タコマのシティ・バス#27へ乗り換える。左手に球場、右手にフレッド・マイヤー(大型スーパー)が見えてくれば下車、約20分。グレイハウンド・バスのディーポから10th & Commerce のターミナルへは徒歩で行けるので、シアトルからグレイハウンドでのアクセスも可。球場はHenry Foss High School に隣接している。
観戦したゲーム(3):
1997.05.18 Tacoma Rainiers vs. Salt Lake Buzz・・・初マイナーリーグ観戦
2000.06.25 Tacoma Rainiers vs. Edmonton Trappers
2000.07.02 Tacoma Rainiers vs. Corolado Springs Sky Sox

サクラメント・リヴァー・キャッツ
球場:サター・ヘルス・パーク
所在地:カリフォルニア州サクラメント
開場:2000年
収容人数:14,014人

 チームをヴァンクーヴァーから誘致するにあたって建設された本格的なスタジアム(しかし工事が開幕までに間に合わず、チームは5月15日までの約1ヶ月半の間ロードでの転戦を強いられた)。開場するやいなやマイナーリーグのアテンダンス・レースをリードし続け、2000年から2008年まで9年連続で総入場者数1位に輝いた。キャパはイス席だけで10,000を超え(芝生席を入れると14,000を超える)、オープンコンコース、外野に芝生席、グランドスタンドの2階にはスイートルームを備えるなど、その後のマイナーリーグの新球場建設の際のお手本的存在となった。外野はライト側が芝生席、レフト側がピクニック・エリアになっており連日BBQの煙がもくもくと上がっていた。ライト側に見えるのはサクラメントのランドマーク、タワーブリッジ。チームストアはメジャー並に広いが品揃えはそんなに良くなく、しかもデザインは相当ダサい。マイナーにしては珍しくフィールド・レベルへのチケット・チェックが結構厳しかった。開場元年という事である程度の混雑は覚悟して行ったが、観戦した3試合中2試合はソールド・アウト、1試合は芝生席しか残ってないという繁盛振りだった。ただしソールド・アウトでも試合当日には立ち見の当日券が出る。
行き方:サクラメントはカリフォルニア州の州都でサン・フランシスコの東、車で2時間程の距離。昔はゴールド・ラッシュで栄えたらしい。4大スポーツの中ではNBAだけがフランチャイズを置いている。球場は町の西側を流れるサクラメント川の対岸にあり、ゲームのある日はダウンタウンのプラザ(ショッピング・モール)のL St. 沿いから無料のシャトル・バスが出る(球場まで10分ぐらい)。ゲーム終了後も球場のメインゲート前からダウンタウン行きのバスが出るので安心。ダウンタウンからなら歩いても20分ぐらいで行ける。ダウンタウンのL St. とN St. の間を通るCapital Mall(M St. ではない)を西へ、サクラメント川に架かる名物のタワー・ブリッジを渡れば球場はすぐ左側に見える。
観戦したゲーム(3):
2000.06.09 Sacramento River Cats vs. Edmonton Trappers
2000.06.10 Sacramento River Cats vs. Edmonton Trappers
2000.06.11 Sacramento River Cats vs. Edmonton Trappers