インターナショナル・リーグ

Werner Park (Papillion, NE)
NBT Bank Stadium (Syracuse, NY)
Sahlen Field (Buffalo, NY)
Truist Field (Charlotte, NC)
121 Financial Ballpark (Jacksonville, FL)
Coca-Cola Park (Allentown, PA)
PNC Field (Moosic, PA)
Harbor Park (Norfolk, VA)
Durham Bulls Athletic Park (Durham, NC)
Fifth Third Field (Toledo, OH)
Principal Park (Des Moines, IA)
Innovative Field (Rochester, NY)
Victory Field (Indianapolis, IN)
AutoZone Park (Memphis, TN)
Louisville Slugger Field (Louisville, KY)
 

オマハ・ストーム・チェイサーズ
球場:ワーナー・パーク
所在地:ネブラスカ州パピリオン
開場:2011年
収容人数:9,023人

・トリプルAオマハの歴史は1969年にMLBのエクスパンションでロイヤルズの誕生と共に始まった。以降、現在まで一度も親球団を変えずにロイヤルズ傘下のトップファームクラブとして続いている。
・2010年まではオマハ市内にある"Rosenblatt Stadium"をホームにしていたが、老朽化のため建て替えるコトになった際にカレッジ・ワールド・シリーズとの同居を拒んだためオマハ郊外のパピリオンに移転してきた。現在の球場はその時にパピリオン市が用意してくれた新居で、移転と同時にチーム名を伝統の"Omaha Royals"から現在の名称に改めた。なお、カレッジ・ワールド・シリーズは2011年からオマハ市内に新設された"TD Ameritrade Park"で開催されるようになった。

行き方:パピリオンはオマハの南西にあるベッドタウン。オマハから公共の交通機関で球場まで行く方法はないのでタクシーかウーバーを使うしかない。オマハ市内からバスで球場の徒歩圏内へ近づくこともできない。
観戦したゲーム(2):
2019.06.09 Omaha Storm Chasers vs. El Paso Chihuahuas
2019.06.10 Omaha Storm Chasers vs. El Paso Chihuahuas

シラキュース・メッツ
球場:NBTバンク・スタジアム
所在地:ニューヨーク州シラキュース
開場:1997年
収容人数:11,071人

photo by 球場巡礼

 メインゲート脇のサイロ風タワーが印象的なダブル・デックの本格的なスタジアム。オープンから2004年までは"P&C Stadium"と名乗っていたが、2005年からネーミング・スポンサーが地元の銀行に変わり"Alliance Bank Stadium"に、さらにアリアンス・バンクが合併により社名が変更したため2013年から現行の名前になった。毎度お馴染みHOK社(現ポピュラス社)の手による設計で、HOKが93年に手がけたノーフォークの"Harbor Park"と基本的には同じ構造。シラキュースは長年ヤンキース傘下のトップファームクラブだったが1977年のブルー・ジェイズ誕生を契機にジェイズ傘下に鞍替え。以後2008年まで一度も親球団を変更していなかった。チームは1997年〜2006年までの間は"Syracuse SkyChiefs"と名乗っていたが定着しなかったため"Sky"を取っぱらって昔からの名前"Chiefs"に戻した。2019年からは親球団がナショナルズからメッツに変わったことを機にチーム名も"Mets"に変更した。
 球場はガラーンとしただだっ広い空き地(と言うか荒れ地)の中にポツンと建っている。エントランス前の整備されたガーデン風の広場や淡いベージュを基調とした牧歌的な外観も悪くないが、本格的な屋根付きのアッパー・デックを備えたグランドスタンドは迫力があって画になる。バックネット裏には2層からなるスイートを完備しており、スタンドにはカクカクと小刻みに角度が付いていて見た目も観戦のアンバイも申し分なし。外野には観戦スペースはなくただブルペンがあるだけ。シラキュースはそれほど大きなマーケットではないのだが、それでもトリプルAクラスのグレードを余裕で満たす球場を持っている事に驚かされる。ジェイズ傘下の時は親球団の本拠地"Rogers Centre"が人工芝なので、「選手はメジャーに上がる前に人工芝に慣れとけや」という配慮でこちらも人工芝だったが2008年からめでたく天然芝に張り替えられた。
行き方:シラキュースはニューヨーク州のほぼ中央に位置する中都市。4大スポーツのフランチャイズはないが、カレッジ・スポーツ界でブイブイ言わせているSyracuse University のキャンパスと巨大なドーム・スタジアムがダウンタウンにある。球場はアムトラックとグレイハウンドのバスターミナルを兼ねているRegional Transportation Center のすぐ近く。よその町からバス、鉄道でシラキュースへアクセスする場合は必ずここを通るので、ダウンタウンの町並みを見る前に球場の場所を確認する事ができるだろう。ダウンタウンから行く場合はダウンタウンのバスターミナルからRegional Transportation Center へ行くバスで約20分。ナイトゲーム終了後もダウンタウンへ戻るバス有り。
観戦したゲーム(4):
1999.04.08 Syracuse SkyChiefs vs. Rochester Red Wings (Season Opener)
1999.04.09 Syracuse SkyChiefs vs. Rochester Red Wings
2006.05.01 Syracuse SkyChiefs vs. Durham Bulls
2015.07.18 Suracuse Chiefs vs. Gwinnett Braves

バッファロー・バイソンズ
球場:サーレン・フィールド
所在地:ニューヨーク州バッファロー
開場:1988年
収容人数:16,600人

photo by 球場巡礼

 ロバート・レッドフォード主演のベースボール・ファンタジー映画『ナチュラル』(原題:The Natural)の撮影にも使われた"War Memorial Stadium"に代わってダウンタウンのド真ん中に建設されたモンスター級スタジアム。デザインは90年代以降の名作球場のほとんどを手がけたHOK社(現ポピュラス社)。元々MLBの新球団を誘致するために造られたもので、スタンドは「もしもの時」に備えて拡張できるように設計されているとの事。しかし残念ながら93年はデンヴァー、マイアミに、98年はフェニックス、セント・ピーターズバーグに連敗を喫し未だに「もしもの時=MLB球団」はやって来ない...。
 開場当時はマイナーリーグではダントツの異常とも言える観客動員を誇ったが、ここ最近は後発の新球場に完全に追い抜かれて落ち着いてきている。今でこそマイナーも新球場建設ラッシュでここよりゴージャスな球場もさほど珍しくはなくなったが、80年代のマイナーの球場としてはグンを抜いていたに違いない。その証拠に1988年の開場以来6シーズン連続で観客動員100万人を突破している。スタンドはダブルデックで席数が多く、一見してデカイと実感できる(オープン当時はイス席だけでキャパ2万人をこえていた)。コンコースはスタンド裏にあり、多くの人を滞りなく捌けるように結構広くとってある。ファサードは白亜の宮殿のような感じの立派なものだが、いかんせん、グレーの安っぽい屋根が何とも野暮ったい印象を与えている。屋根の形状と色さえなんとかすればもっと良くなるような気がするが...。
 日本の読売でも一瞬だけプレイしたジャーニーマン ジェフ・マントの#30がバイソンズの永久欠番になっている。日本球界では散々だった彼だが、アメリカ球界(特にマイナー)では欠番になるに相応しいほどのリスペクトを集めていた選手だったとの事。私がここにその事を書き残す事によって少しでも彼の名誉が回復される事を願う。
行き方:バッファローはニューヨーク州の西端、観光名所ナイアガラの滝のすぐ南に位置し、カナダとの国境もすぐ。球場はダウンタウンの中心部、Washington St. & Swan St. の辺り一体を占めておりアクセスはかなり簡単。一般の旅行者レベルでも普通に行ける。4大スポーツの内の2つ、NFLビルズとNHLセイバーズがフランチャイズを置く町にしてはダウンタウンは結構寂れている。メトロレール(ダウンタウン内に限り無料で乗れる路面電車)を利用するならSeneca駅下車スグ。グレイハウンド・バスのターミナルからもわずか2ブロック。
観戦したゲーム(10):
1997.08.14 Buffalo Bisons vs. Indianapolis Indians (DH)
1997.08.15 Buffalo Bisons vs. Indianapolis Indians
2005.07.27 Buffalo Bisons vs. Pawtucket Red Sox
2005.07.28 Buffalo Bisons vs. Pawtucket Red Sox
2005.07.29 Buffalo Bisons vs. Pawtucket Red Sox
2005.09.09 Buffalo Bisons vs. Indianapolis Indians (Playoff Semi-Finals Game 3)
2006.04.29 Buffalo Bisons vs. Charlotte Knights
2006.05.01 Buffalo Bisons vs. Charlotte Knights
2015.07.10 Buffalo Bisons vs. Scranton/Wilkes-Barre RailRaiders・・・ムネノリ・カワサキが9番セカンドで出場、好守備連発

シャーロット・ナイツ
球場:トゥルーイスト・フィールド
所在地:ノース・キャロライナ州シャーロット
開場:2014年
収容人数:10,200人

photo by 球場巡礼

・ナイツはチーム創設の1993年から2013年まで21シーズンの長きにわたりシャーロットのはるか南、州境を越えたサウス・キャロライナ州のフォート・ミルに本拠地を構えプレイしていた。2014年にこの球場が完成してようやく「シャーロット・ナイツ」はシャーロットでプレイすることとなった。
・1992年までシャーロットにはダブルAサザン・リーグ所属の「シャーロット・ナイツ」があったが、それは1992年のシーズン終了後にアラバマ州モービルに移転した。
・ダウンタウンの高層ビル群を背景に野球観戦ができるオツな球場。ただ、町中の一画におさめるため全体的に窮屈な感は否めない。
・バックスクリーンの脇にドラゴンのオブジェがある。
・オープンから2019年までは"BB&T Ballpark"と呼ばれていたがスポンサーであるBB&T銀行は同業のサントラスト銀行と合併し社名を変更したので球場も2020年から現在の名称に変更された。トゥルーイスト銀行はアメリカ南東部(主に南北キャロライナ、ジョージア、アラバマらへん)に展開してる大手銀行。
行き方:シャーロットはノース・キャロライナ州最大の町でアメリカの最大手銀行の一つであるバンク・オブ・アメリカが本社を置いている金融都市。4大スポーツの内の2つ、NFLパンサーズとNBAホーネッツがアップタウン(シャーロットでは何故かダウンタウンのことをアップタウンという)に本拠地を構えている。球場はアップタウンの北のはずれにある。Mint St. とMartin Luther King Jr. Blvd. の角がメインゲートになっており、ダウンタウンの区画の中にスッポリと収まっている。球場の西側にはNFLパンサーズのスタジアムがある。ダウンタウンの主要ホテルやグレイハウンド・バスのターミナルから徒歩で行ける。
観戦したゲーム(1):
2015.05.02 Charlotte Knights vs. Scranton/Wilkes-Barre RailRaiders

ジャクソンヴィル・ジャンボ・シュリンプ
球場:ワン・トゥ・ワン・ファイナンシャル・ボールパーク
所在地:フロリダ州ジャクソンヴィル
開場:2003年
収容人数:10,000人

Photo by 球場巡礼

・2017年に"Jacksonville Suns"から現在の名称に変更。サンズという伝統の名前は(一貫して途切れずずっと続いていたわけではないが)トリプルAインターナショナル・リーグに所属していた1962年から使われ続けてきた大名跡だった。
・外観やインテリアはレンガ装飾などのビッタビタのレトロ調で重厚な造り。いかにも金がかかっていそうなしっかりした球場。
・オープンから2019年まではシンプルに"Baseball Grounds of Jacksonville"と呼ばれていたが、2020年からスポンサーが付いて現在の名称に改められた。
・2020年シーズン終了後に断行されたマイナーリーグ再編でダブルAサザン・リーグから引き抜かれトリプルAに昇格した。
行き方:ダウンタウン内。NFLジャガーズのスタジアムとアリーナに隣接。
観戦したゲーム(2):
2011.09.04 AA Southern League : Jacksonville Suns vs. Jackson Generals
2011.09.05 AA Southern League : Jacksonville Suns vs. Jackson Generals

リーハイ・ヴァレー・アイアンピッグズ
球場:コカコーラ・パーク
所在地:ペンシルヴェニア州アレンタウン
開場:2008年
収容人数:10,100人

photo by 球場巡礼

 アイアン・ピッグズの歴史は1993年にカナダの首都オタワで始まった。チームは2007年まで"Ottawa Lynx"としてプレイしていたが、底にへばり付いて離れないような低調な観客動員に苦しみ移転は時間の問題と思われていた。フィリーズは長年スクラントン/ウィルクス-バリをトップファームチームとしていたが、ハリスバーグにトリプルAを移す方向でハナシを進めていた。しかしハリスバーグの球場はトリプルAの球場としてはあまりに役不足で、おまけに市は新球場建設の予算を出し渋ったため移転は白紙に戻された。そこでHOK社(現ポピュラス社)のデザインによる新球場建設を手土産に移転先として立候補したのがここアレンタウンだった。ハナシはトントン拍子に進み、フィリーズはスクラントン/ウィルクス-バリをヤンキースに譲って一旦トリプルAオタワと契約。新球場は予定通り2008年にオープンし、オタワは満を持してアレンタウンへ移転し"Lehigh Valley IronPigs"と相成った。ビリー・ジョエルの曲でもお馴染みのアレンタウンは昔は鉄鋼業で栄えた町で、チーム名も銑鉄(せんてつ)の英語"pig iron"から来ている。ちなみにチーム・マスコット"Ferrous"の背番号26は鉄の原子番号である。勉強になるなぁ!
 球場は残念ながら非常にオーセンティックな、ベーシックな、ベタな、当世風マイナーリーグのお手本のような感じでこれといった特徴はほとんど見受けられない。外観はショッピング・モールを思わせるようなベージュとブラウンの上品な面構え。特にレトロ感を出している風でもなくソフトな印象。スタンドは一応ダブルデックだが、2階席は申し訳程度で収容能力はそれほどなく、ほとんどの座席はフィールド・レベルに集まっている。フィールドとスタンド最前列の境目にはフェンスがなくスケスケになっており、バックネット裏には掘り下げの砂かぶり席が用意されている。外野はセンターに芝生席があるだけでスタンドは一切ない。レフト側には横向きのブルペンが上下に2列、ライト側は段違いのスロープを利用した立ち見スペースになっている。立ち見ができる場所にはもたれかかるためのフェンスと飲み物などを置ける小さなカウンターが設えてあって快適。なお、ライト側はレフトより浅いためフェンスが結構高めにそびえている。細かいトコロではスコアボードや広告塔の鉄骨にはバカみたいにでかいリベットが飾りとしてデザインされている(チームのロゴにも同じようなリベットの意匠が多用されている)。なお、フィールドはフィラデルフィアの"Citizens Bank Park"とほぼ同じ形状になっているらしいが全く気付かなかった。
行き方:アレンタウンは州都フィラデルフィアの北西約100kmにある都市。州内ではフィラデルフィア、ピッツバーグに次いで3番目に大きな町で、リーハイ・ヴァレーと呼ばれている周辺エリアの中心でもある。グレイハウンド・バスでニューヨークから約2時間半。4大スポーツのフランチャイズはない。球場はダウンタウンの北東、Lehigh River を越えたところにある。ダウンタウンの東のはずれにあるグレイハウンド・バスのターミナルから徒歩30分強。American Pky. を北へ上がりTilghman St. まで来たら右(東)へ。川に架かる橋を渡ると通りの名前がUnion Blvd. に変わるが構わず直進。しばらく行くと左手にパーキングの入口が現れる。バスターミナルから橋までの間はどっちかと言うと低所得者の住むエリアになっているので感じはよろしくない。
観戦したゲーム(1):
2008.06.29 Lehigh Valley IronPigs vs. Syracuse Chiefs

スクラントン・ウィルクス-バリ・レイルライダーズ
球場:PNCフィールド
所在地:ペンシルヴェニア州ムージック
開場:1989年
収容人数:10,000人

Photo by 球場巡礼

 1985年、マイナーリーグ界にクッキーカッターとかいう近未来のエッセンスを取り入れたスタジアムがヴァージニア州リッチモンドにオープンした。それから4年後、マイナーリーグ版クッキーカッター・スタジアムは更なる進化を遂げて巨大化し、当球場は"Lackawanna County Stadium"として華々しくデビューした。マイナーリーグとは思えない立派すぎるダブルデックのスタンド、なにからなにまで完全シンメトリーな幾何学的構造、不自然な色が当時は新鮮に感じた人工芝、座席は全てハネ上げの一人掛けイス。全てが最先端のスタジムだった。当時、マイナーリーグの球場はこちらの方向へ進むことを誰もが疑わなかったことだろう。しかし、ご存知の通り90年代に入ると突如レトロ志向が持て囃され、業界はネオ・クラシック一色に染まった。次世代の旗手になるハズだったスタジアムはたった10年かそこらで急激にその輝きを失った...。
 球場はハイウェイからのアクセスとパーキング用のスペース確保を考慮し、スクラントンとウィルクス-バリの間に挟まれた郊外の町ムージックに建設された。外観はコンクリ打ちっ放しでスタンドの裏が露出しているクッキーカッターそのもの。実はこの球場、当時親球団だったフィリーズの本拠地"Veterans Stadium"のミニチュア版として設計されたのだ。よってフィールドのサイズも"Veterans Stadium"と全く同じで、シートの色などもなんとなくそれっぽくペイントされている。近年になって両ポール際にパーティ・デックが増設されたが、座席は基本的にグランドスタンドにしかない。外野はフェンス1枚で仕切られており、観戦スペースは皆無。フェンスの向こうは崖になっている。アッパーデックは普段はガラガラなので上段の3分の1ほどはシートで覆って使用していない。
 チームはこの地に移転して以来"Red Barons"と名乗り、長らくフィリーズ傘下に入っていたがフィリーズは同州内のアレンタウンに居を移し、2007年からヤンキース傘下にスウィッチした。"Yankees"を名乗るようになった途端に観客動員が増え、球場にネーミング・スポンサーが付き、人工芝だったフィールドはさっそくナチュラル・グラスに張り替えられた。スタンド裏のコンコースには所狭しとヤンキー・レジェンドのパネルが掲げられ、そこかしこから金のニオイ...いや、人気球団のイキオイが感じられた。そして時代遅れになったスタジアムは運営会社とヤンキースの主張で2012年のシーズンを丸々使ってアッパーデックを取っ払い、ほぼ全面的に建て直された。新たな装いとなった球場は2013年の開幕戦でお披露目され、同時にチーム名は"Scranton/Wilkes-Barre RailRiders"と改められた。マイナーリーグ新時代を告げるハズだった個性的なモンスター・スタジアムはオープンから30年ももたずにどこにでもある当世風の球場に変わり果ててしまった...。
行き方:球場のあるムージックへはスクラントンのダウンタウンからシティ・バス+徒歩でアクセスできる。スクラントンへはニューヨークからグレイハウンド・バスで約2時間半。フィラデルフィアからも便が出ている。グレイハウンドのターミナルはスクラントンのダウンタウンにあり、球場の近くまで行くバス(County of Lackawanna Transit System=略してColts Bus)はターミナル近くのMall at Steamtown というショッピング・モールの前から発着している#27 Minooka行き。このバスは1時間に1本しかなく日・祝は運行していない。しかもナイトゲーム終了後も走っていないので注意。運賃は片道$1.25。#27はダウンタウンを出るとPittston Ave. を南西に進み、途中から一本北のBirney Ave. に入る。Davis St. まで来たら下車。所要時間は約15分で降りる目印はCVSストア。こっから球場までは徒歩約30分。Davis St.を南へ歩き、インターステイト81号線を越えたらすぐにMontage Mountain Rd. を右折。ここら辺は歩行者用の側道と信号があるので歩くのには問題ない。Montage Mountain Rd. に入っても球場は崖に隠れて見えないが、道路脇の観光用トロリーの線路に沿っていけば突如姿を現す。クルマなしでのアクセスはまぁまぁ難かしい。
観戦したゲーム(1):
2008.06.26 Scranton/Wilkes-Barre Yankees vs. Columbus Clippers

ノーフォーク・タイズ
球場:ハーバー・パーク
所在地:ヴァージニア州ノーフォーク
開場:1993年
収容人数:11,856人

 洗剤のブランド名のようなこのチームは元々は"Tidewater Tides"と名乗っており、ノーフォークではなく隣町のポーツマスを本拠地としていた。インターナショナル・リーグに加盟したのは1969年からで、その時にノーフォークへ移ってきたがチーム名は変えなかった。ノーフォークの名を冠するようになったのは現球場がオープンした1993年から。一目見てわかると思うが球場のデザインはあのHOK社(現ポピュラス社)。90年代以降、HOKはマイナー、メジャーを問わず新球場のデザインをほぼ独占する事となるが、この球場の完成度から判断するに、既にこの時点でHOKのスタイルはある程度の到達点に達していたと言える。
 球場はチェサピーク湾へ注ぐエリザベス川の河口付近に文字通りハーバーを背にして建っている。ただしこのハーバーは神戸のハーバーランドのような手ェつないでキスしたろか的な浮ついた雰囲気ではなく、運搬船のドッグや陸揚げのためのクレーンが並ぶオトコの作業場的雰囲気。外観はゴテゴテのレトロ風味ではなく、あっさり風味のサンドストーン系。ただしガッチリ金をかけて作ってあるので存在感はある。スタンドはこの時代で既にオープン・コンコース+ダブルデックを採用し、シートは全てチームカラーのネイビーで統一されている。全席一人掛けのハネ上げイスなのは言うまでもない。アッパー・デックはバックネット裏がスイートと放送ブースになっており、一般のスタンドは両ベースライン沿いに作られている。この辺りの様式は後にトリプルAシラキュースの球場でも踏襲され、両者はまるで一卵性双生児のようなクリソツな作りになっている。スタンドからはライト方向に例のハーバーが望めるのだが、残念ながら雑然としていてあまり誉められた眺望ではない...。
 ちなみにタイズは1969年から2006年まで、実に37年間もの長きに渡りメッツ傘下だったので外野は"Shea Stadium"とほぼ同じ形状になっていた(レフトだけ5フィート短かった)。きっと言われなければ誰も気付かないだろう。
行き方:ノーフォークは国内最大の入江、チェサピーク湾に面する中都市。隣接するヴァージニア・ビーチ、ハンプトン、ポーツマス、チェサピーク、サフォークなどと共に"Hampton Roads"と呼ばれる一大メトロポリタン・エリアを形成している。合衆国建国当時から港湾都市として栄え、海軍の大規模な基地がある事でも有名。またMLBファンならモントリオール・エクスポズの移転先としてワシントンDCと最後まで争った町として記憶に残っているだろう。球場はダウンタウンの南、エリザベス川の支流とハイウェイ264号線に挟まれた川べりに位置する。ダウンタウンのGranby St. を経由して球場まで行く無料バス"NET (Norfolk Electric Transit)"を利用すれば簡単にアクセスできる。グレイハウンド・バスのターミナルに一番近いNETのバス・ストップはターミナルを出て西へわずか1ブロック(Brambleton Ave. & Granby St. )。NETはナイトゲーム終了後でも走っている。
観戦したゲーム(1):
2006.05.19 Norfolk Tides vs. Toledo Mud Hens

ダーラム・ブルズ
球場:ダーラム・ブルズ・アスレティック・パーク
所在地:ノース・キャロライナ州ダーラム
開場:1995年
収容人数:10,000人

photo by 球場巡礼

 ダーラム・ブルズは世界一有名なマイナーリーグ球団かも知れない。マイナーリーグの事を全然知らなくとも野球ファンならケヴィン・コスナー、スーザン・サランドン、ティム・ロビンズが主演した映画「さよならゲーム」はご存知だろう。マイナーリーグを舞台にしたこの映画、安っぽい邦題が付いてしまって何やらクサい娯楽作品と思われがちだが、実はアメリカならどこにでもあるマイナーリーグの風景を詩情豊かな映像で綴った好作品なのである。特に球場の描写は雰囲気バツグンで、正味の話、野球の実技シーンとベッドシーン以外は全てが見所と言っても差し支えないほどのリアルな完成度を誇る。原題は"Bull Durham"。実在のチーム、ダーラム・ブルズをモデルにした映画である。
 この球場は残念ながら映画の撮影が行われた"Durham Athletic Park"ではない。撮影の行われた旧本拠地球場は1994年をもって"Home of World Famous Durham Bulls"の看板を下ろし、今はアマチュア専用球場としてダウンタウンの片隅でひっそりと余生を過ごしている。当時シングルAキャロライナ・リーグ所属だったブルズは映画の影響で一躍ネイションワイドの人気チームとなり、1万人収容の新球場建設→1998年からトリプルAインターナショナル・リーグに昇格、という他の貧乏チームの妬み嫉みを一身に集めるシンデレラ・ストーリーを実現させた。
 球場のデザインは今や説明不要の大御所HOK社(現ポピュラス社)。印象的なレンガ造りのメイン・エントランスを仰ぎ見ればHOKの仕事である事は一目瞭然。ダーラムの町には今も古い赤レンガの建物が多く残っているので、球場の外観がこのようになったのも必然と言える。スタンドはシンプルに1層で勝負。バックネット裏にかかるトラディショナルな屋根はなかなかのボリュウムで見た目にもインパクト大。特徴は"Fenway Park"のグリーン・モンスターをまんまパクったレフトの巨大なウォールとマニュアル式スコアボード。そしてHOKの代表作"Oriole Park at Camden Yards"のセルフカバーとも言える、ライト後方にそびえるウェアハウス風ビルディング。壁はグリーンではなくネイビーにペイントされているので「ブルー・モンスター」と呼ばれている(呼ばせている?)。その壁の上にはブルズの選手がHRを打つと目が赤く光り、鼻からスモークが出るあの有名なブルの看板が乗っかっているが、実はこれは二代目。映画の撮影にも使用された初代は役目を終え、現在はスタンド裏のコンコースにて展示されている。外野には立派なブリーチャーと芝生席が用意されているが、これはライト側のみ。レフト側のブルー・モンスターの向こうは本家と同様すぐストリートになっているので観戦スペースはなく、行き来もできない。壁の上に通路でも設えて場内を一周できるようにすれば良いのになぁ。
 100年以上に及んで脈々と受け継がれているダーラムの球史、映画からの影響、ノスタルジックな町並みにことさら馴染んでいる美しいスタジアム、ブルの鼻息が微妙にかわいらしい球団ロゴなど、様々な要因がブルズを今でも特別なチームたらしめているのは間違いないだろう。野球好きを自称するならダーラムは行っておいて損のない町である。ちなみにこの球場は野球のアメリカ代表チーム"U.S.A. Baseball"のホームにもなっている。日本と持ち回りで開催されている"USA vs. Japan Collegiate All-Star Series(日米大学野球)"の球場と言えばわかりやすいか。チームストアでは珍しいチームU.S.A.のグッズも手に入る。
行き方:ダーラムと言えば名門デューク大学のキャンパスがある事で有名だが、実は州内では5番目の大きさの町でしかなく、トリプルAがフランチャイズを置く町としてはいささか物足りない。ただ、隣接する州都ローリーの衛星都市として一括りで語られる場合が多く、ローリーも含めると4大スポーツではNHLハリケーンズがフランチャイズを置いている。ちなみにマイナーリーグ・ファンのマスト・アイテム"Baseball America"誌の編集部はここダーラムにある。球場はあまり栄えていないダウンタウンの南、フリーウェイ147号線の北側にある。通りで言うとBlackwell St. とJackie Robinson Ln. (フリーウェイの脇を平行に走る道)の角がメイン・エントランスとなっている。グレイハウンド・バスのターミナルからダウンタウン方向へ徒歩20分弱。
観戦したゲーム(1):
2006.05.11 Durham Bulls vs. Louisville Bats・・・ルイヴィルの先発は元阪神・読売のダレル・メイ

トリド・マッド・ヘンズ
球場:フィフス・サード・フィールド
所在地:オハイオ州トリド
開場:2002年
収容人数:10,300人

photo by 球場巡礼

 マイナーリーグで最も愛されているニックネームを持つマッド・ヘンズは2002年、"Ned Skeldon Stadium"に代わって建設されたダウンタウンの新球場に移ってきた。開場以来の観客動員は順調でファンの喜ぶ演出や盛り上げ方をよく知っている人気のスタジアム。外観はネオ・クラシックっぽく装ってはいるもののその実はむしろモダン、と言うHNTB設計の球場にありがちな中途半端な様式を特徴としている。最もそれを体現しているのがメイン・エントランスだろう。スタンドの外壁は趣味のよい瀟洒なレンガ造りになのだが、エントランス部分だけ急にシルバーの鉄材によるモダンなデザインになっており雰囲気がガラリと変わる。何故外観をレンガ造りで統一しなかったのか理解に苦しむが、中に入ってみるとインテリアはむしろエントランスの流れを引き継ぐ色合いになっている。完全2層のグランドスタンドはホワイトでペイントされており、アクセントとしてブルーが使われている。そしてシートはネイビーで統一。決してクラシックを意識したカラーリングではない。ここの特徴は球団オフィスやチームストアが入っているライトポール際のレンガ造りのビルヂングに尽きる。この建物の正体は昔からそこにあった古い建物で、球場建設の際に壊さずに改装してそのまま球場の一部として使用しているのだ。そしてこのビルには「The Roost」と呼ばれる外野席がへばり付いている。これは旧"Tiger Stadium"のホームラン・ポーチへのオマージュとして設計されているらしい。
 スタジアム自体はダウンタウンの区画の中にスッポリ入っているので少々窮屈な感はある。特にグランドスタンドは列数が少なく、2階スタンドの高さもあまりない。余所のトリプルAクラスの球場と比較すると明らかに狭っ苦しい。外野は一周できるが芝生席やブリーチャーはなく、コンコースとテーブル席があるのみ。ストリート・レベルからかなり下にあるフィールドの形状はかつてニューヨークにあった"Polo Grounds"と同じ形に造られている。The Roost もそうだが、設計者の遊び心が伝わってくるようでニヤリとさせられる。ネーミング・スポンサーはオハイオ州で幅を利かしているフィフス・サード・バンク。オハイオ州のデイトンにも全く同じ名前の球場があるのでややこしい!
行き方:トリドはオハイオ州とミシガン州の州境、エリー湖畔の中都市で4大スポーツのフランチャイズはない。球場はMaumee River 沿いに広がるダウンタウンの南、コンベンション・センターの南側に位置する。通りで言うとWashington St. & Houron St. がメイン・エントランスになる。グレイハウンド・バスのターミナルから歩いて10分もかからない。
観戦したゲーム(2):
2002.05.09 Toledo Mud Hens vs. Ottawa Lynx
2006.04.27 Toledo Mud Hens vs. Indianapolis Indians

アイオワ・カブス
球場:プリンシパル・パーク
所在地:アイオワ州デモイン
開場:1992年
収容人数:11,500人

photo by 球場巡礼

 あまり知られていないがこの球場はHOK社(現ポピュラス社)の手がけた作品の一つで、この地にあった"Sec Taylor Stadium"を1991年シーズン終了後に取り壊した後、翌年のシーズン開幕戦までのわずか5ヶ月半の間に建設された。HOKの割には細部のツメが甘く実に微妙な球場だが、スコアボードや外野フェンスは先代のものをそのまま利用したリサイクル品とも言えるシロモノなので、そこらへんは差っ引いて評価する必要がある。開場以来2004年までは先代の球場名を引き継いで"Sec Taylor Stadium"と呼ばれていたが、2005年から地元の保険会社がネーミング・ライツを獲得して現在の名前に変更された。
 それなりに見やすい球場であるのは認めるが、あくまでも「それなり」感が強い。当時はまだ業界に「ネオクラシック」なる様式がブームになる前だったので仕方ないが、その後数年の間にオープンしたトリプルAクラスの球場と較べるとわずか数年でここまで変わったのか!と逆に感心させられる。外観はHOKらしく薄めのレンガとアーチ風の装飾をあしらった上品な造りでなかなか期待感を抱かせる。が、中に入ってみるとやはり「プレ・ネオクラッシク」と名付けてもいいような、今となってはちょっと古くさく野暮ったい印象を受ける。まずコンコースがスタンド裏にある。この様式は1995年くらいを境にして忽然と姿を消し、以降のほとんどの球場はコンコースからスタンドとフィールドを見下ろせるオープン・コンコースを採用している。またこのコンコースが外野まで続いていて、フィールドをぐるっと360度取り囲むのももはや常識となっているが、ここは先に述べたように外野席が全くなく、フェンス1枚で仕切られているだけで立ち入る事もできない。シートの色は下段が赤、上段がブルーにペイントされていて、まるで日本の球場のような安っぽさ。外観と中のギャップが激しい、まさに業界に変化が起こる直前の過渡期的な球場だ。
 グランドスタンドは基本的に1層で中段辺りに通路が設けてある。立派な2階部分は放送ブースとスイートが入っていて一般のファンには縁のない場所。1995年にはレフト側の外野にもスイートが増設されたが、外野にスイートとは余所ではお目に掛かった事のない珍しいスタイルだ。チームは通称"I-Cubs"と呼ばれ毎年安定した動員をマークしている。チームストアの品揃えはかなり充実。
行き方:Des Moinesをスラッと読める人はなかなかいない。語源は定かではないが一説にはフランス語の"de moyen"の英語風表記とも言われている。デモインはアイオワ州の州都で州の中央よりやや南西に位置する。現在では保険会社の本社が集まる町として有名。球場はダウンタウンの南東の端、デモイン川とラクーン川の合流地点にあり、ダウンタウンや少し歩くがグレイハウンド・バスのディーポからでも歩けるキョリ。球場の周囲は川沿いの公園として整備されており、通りで言うとSW 2nd. St. & Martin Luther King Jr Pkwy. 辺りから南が球場の敷地となっている(角にはバス停があったのでダウンタウンからバスでも行けるハズ)。グレイハウンドでデモイン行きのチケットを買おうとすると必ずこう聞かれる。「行き先はデモインでもいいん?」
観戦したゲーム(1):
2005.06.13 Iowa Cubs vs. New Orleans Zephyrs・・・カブスはリハビリ調整中のケリー・ウッドが先発、3回を3K1失点

ロチェスター・レッド・ウイングズ
球場:イノヴェイティヴ・フィールド
所在地:ニューヨーク州ロチェスター
開場:1997年
収容人数:13,500人

photo by 球場巡礼

 実に67年もの長きに渡り使い続けてきた"Silver Stadium"に代わり、1997年にオープンした正調ネオ・クラシック・スタイルの球場。オープンから長らく"Frontier Field"と呼ばれてきたが2022年の暮れにネーミング・スポンサーがかわり現在の名称になった。レンガとムキ出しの鉄骨を組み合わせたノスタルジックな外観、伝統のグリーンで統一されたシート、スタンド上部にはスイート・ルームを完備、豊富なコンセッション(売店)、キャパは1万人超え。これだけ条件が揃っているのだからたいがいの人は(私も含めて)「はぁ〜立派なスタジアムやなぁ…」と感心してしまうだろう。しかし恐ろしい事に現在ではこれがトリプルAクラスでは標準以下のグレードなのだ。もちろんこの球場も感心するに値する、見栄え的にも非常に魅力的で観戦もしやすい良い球場であることは言うまでもないのだが。
 グランドスタンドは2層かと思いきや実は平屋構造。ただしスタンドに高さがあるのでむしろ2層構造よりも大きいのでは?という印象を受ける。スタンド裏のコンコースも広くて通りやすい。グランドスタンドの両端にひさしがついているが、これは球場完成時にはなく後から付け足したもののようだ。外野席(ブリーチャー)はないが、両翼のポール際に芝生席あり。3塁側にでーんとそびえるのは日本の国会議事堂のような風貌のコダック本社ビル。存在感のあるいい眺めだ。コンコースにはマイナーではお約束のチームのHall of Fameがあり、有名どころではオリオールズ傘下時代にここでプレイしたカル・リプケンや海を越えたさすらいのジャーニーマンことジェフ・マント(元読売)も殿堂入りしている。
行き方:ロチェスターはニューヨーク州の西部、トリプルAインターナショナル・リーグのチームがあるバッファローとシラキュースの中間くらいに位置している。ニューヨーク州では第3の都市(人口は100万人以上)だが4大スポーツのフランチャイズはない。世界的なフィルム・メーカー"コダック"の本社があることで有名。球場はダウンタウンの北西にあり、前述のコダック本社ビルとほぼ隣接している。通りで言うとState St. & Morrie Silver Way がわかりやすいだろう。名所のハイ・フォールズ(町を南北に流れるGenesee Riverが町中で数10m落ち込む瀑布)から徒歩約10分。グレイハウンド・バスのターミナル(ダウンタウンのショッピング・モールと隣接している)からだと徒歩20〜30分。道は簡単でまず目抜き通りであるMain St. を西へ行き、ジェネシー川を越える。川を越えたらState St. を北へ。ハイウェイの高架をくぐると左側に球場が見える。
観戦したゲーム(1):
2004.05.28 Rochester Red Wings vs. Norfolk Tides・・・ツインズのジョー・マウワーが3番DHで出場

インディアナポリス・インディアンズ
球場:ヴィクトリー・フィールド
所在地:インディアナ州インディアナポリス
開場:1996年
収容人数:12,230人

photo by 球場巡礼

 HOK社(現ポピュラス社)の設計によるモダンな居心地のいい球場。開場当時は観客動員1位を突っ走っていたバッファローを脅かすくらいのイキオイを見せていたが、最近は後発の新球場にどんどん抜かれ、ちやほやもてはやされた時代は終わりつつある。しかし球場自体の魅力がなくなってきたワケではない。均整のとれた左右の巨大なスタンドや美しいフォレスト・グリーンのシート、ベージュを基調とした落ち着いたカラーリング、芝生席だけで勝負している開放的な外野席など、凝ったギミックはないが居心地重視のシンプルな球場として十分に評価できる。センター方向にはダウンタウンのビル群が見えて眺望もなかなか都会的でよろしい。通常2階席というのはスイートがメインで一般用の座席は少ないのだが、ここは座席のスペースが多く取られていてグランドスタンドに迫力がある。
 センターのメインエントランス横にティピ(テントのようなインディアンの住居)があるのだが、コイツは球団のマスコットの"Rowdie"の住処らしい。また名物か一夜限りのハプニングかどうかは不明だが、"Y.M.C.A."がかかると1塁側ダグアウトの上でおもむろにデブオヤヂが踊りだすので要チェック。このオヤヂ、ものすごいめんどくさそうなやる気のない顔で踊るのでお客さんにはウケていた。一見の価値アリ。
行き方:州都インディアナポリスはインディアナ州のド真ん中に位置する。元々は名前通りインディアンの集落だったらしいが現在ではダウンタウンに高層ビルやホテルが立ち並ぶ大都市。アメリカ最大のモーター・スポーツ・イベント「インディ500」が開催される都市としても知られる。4大スポーツではNFLコルツ、NBAペイサーズがフランチャイズを置いている。球場はダウンタウンの西側にある。グレイハウンド・バスのターミナルから歩いて10分ぐらい。
観戦したゲーム(1):
2002.05.23 Indianapolis Indians vs. Ottawa Lynx

メンフィス・レッドバーズ
球場:オートゾーン・パーク
所在地:テネシー州メンフィス
開場:2000年
収容人数:10,000人

Photo by 球場巡礼

 トリプルA版メンフィスは1998年のリーグ・エクスパンションで誕生した振興チームだがデビューと同時にマイナーリーグの価値をもう一段上のレベルへ導く旗手となった。以前のメンフィスはダブルAサザン・リーグのナワバリで、"Memphis Chicks"というチームが1997年まで20年近く君臨していた。しかしパシフィック・コースト・リーグの進出によって同州のジャクソンへ移転し、名を"West Tenn Diamond Jaxx"に改めた(現在は"Jackson Generals"に改名)。新たに誕生したチームは最初からカーディナルズの傘下に入ることが決定しており、チーム名もそのものズバリな名前になった("Redbirds"はカーディナルズのニックネーム)。最初の2シーズンは既存の"Tim McCarver Stadium"を仮の本拠地にしていたが、2000年からHOK社(現ポピュラス社)の設計による超トリプルA級のこの球場へ移ってきた。以降のレッドバーズの観客動員面での大成功はご存知の通りで、21世紀に入ってからのマイナーリーグの異常な新球場建設ラッシュと(球団の)資産的価値の高騰、そして未曾有の観客動員増はこことサクラメントの成功から始まったと言えるだろう。
 オープンから10数年が経ち、もはや新球場と言うにはキツクなってきたが、それでもマイナーリーグ最高峰の球場と言っても過言ではないだろう(少なくとも私が見た中では)。もちろんここより収容人数の多い球場や集客力のある球場はあるが、雰囲気がもはやマイナーのそれではない。マイナー特有の「野球でも見に行くか〜」的なノリではなく、ほとんどの人が「野球を見に来ている」のである。その証拠にゲームの日は球場周辺にダフ屋が出る。チケットが売り切れでもないのに、いい席に需要があるのだ。これはマイナーでは考えられない事態だ。
 ダウンタウンの区画の中にスッポリと入っている球場なので外野のコンコースなどがちょっと窮屈に感じられるが、高さのある3層からなるグランドスタンド、密度の濃い迫力のある照明灯などボリュウムと存在感がマイナーの中では明らかに抜きん出ている。かと思えば外野には土手のように盛り上がったラワン(芝生席)があり、そこではのんびりとシートを広げて寝そべって観戦する事もできる。ただひたすらゴージャスさと快適さだけを追求するのではなく強弱の付け方が憎い。球場全体を支配するレトロな統一感のあるデザインはHOKの数ある仕事の中でも傑作の一つと言えるだろう。ちなみにセンターの後方にYMCAのビルディングがあるのだが、その屋上には"Y ZOON"なるスタンド席が設えてあり、ちゃっかりタダ見できようになっている。
行き方:キング・オブ・ロックンロールことエルヴィス・プレスリーが愛した町メンフィスはテネシー州の西端、ミシシッピ川沿いに位置する。4大スポーツの中ではヴァンクーヴァーから移転してきたNBAグリズリーズだけがフランチャイズを置いている。球場はダウンタウンのド真ん中、有名なピーボディ・ホテルの真正面にど〜んとそびえている。通りで言うと3rd St. & Union Ave. がメイン・エントランスになる。グレイハウンド・バスのターミナルからわずか1ブロック。
観戦したゲーム(2):
2002.05.18 Memphis Redbirds vs. Salt Lake Stingers
2002.05.19 Memphis Redbirds vs. Salt Lake Stingers

ルイヴィル・バッツ
球場:ルイヴィル・スラッガー・フィールド
所在地:ケンタッキー州ルイヴィル
開場:2000年
収容人数:13,131人

photo by 球場巡礼

 開場1年目のトータル・アテンダンスはサクラメント、メンフィスに続いてマイナー全体で3位を記録。ウェアハウス風のエントランスが周りのレンガ造りの町並みによく馴染んでいる壮大な球場。HOK社(現ポピュラス社)のライバルであるHNTB社が設計を担当した。ダウンタウンの球場にありがちな狭苦しさはなく、球場まわりやエントランス広場、外野席のスペースがタップリ取られていて全体的にゆったりとしている。グランドスタンドは当然2層でスイート完備。外野には用途の違う3つの巨大なボードがそれぞれ独立してそびえている。外野席はレフト側に芝生席、ライト側にブリーチャーとピクニックエリア、そしてライト側の一角にはキッズの遊び場まで備えている。グランドスタンドの大きさもさることながら、外野のスペースも結構な人数を収容できるよう有効に使われおり、まさに人が集まる人気ボールパークのお手本と言えよう。
 異常に広いエントランス広場にはさりげなく"Kentuckey Hall of Fame"なるコーナーがあり、ケンタッキー州出身のピー・ウィー・リース(1940〜50年代にドジャースで活躍)やホーナス・ワグナー(1890〜1910年代にパイレーツで活躍)らレジェンドのレリーフが飾ってある。またダウンタウンには球場のネーミング・スポンサーであり、メジャーリーガーの愛用者も多い事で有名なバット・メーカー「ルイヴィル・スラッガー」社の工場がある。博物館も併設されていてツアー形式で見学できるので興味のある方はどうぞ(大人$6.00)。
行き方:ルイヴィルはケンタッキー州最大の都市。シンシナティからグレイハウンド・バスで約2時間。オハイオ州と隣接し、ダウンタウンの北側を流れるオハイオ川が州境になっている。ルイヴィル側のオハイオ川は同地出身のカシアス・クレイ(後にモハメド・アリに改名)がローマ五輪で獲得した金メダルを投げ捨てた川として有名。4大スポーツのフランチャイズはないが19世紀にはMLBのフランチャイズがあったらしい。球場はダウンタウンの東のはずれ、Main St. & Preston St. あたり。7th St. にあるグレイハウンド・バスのターミナルや8th St. & Main St. にあるLouisville Slugger Museum からだと徒歩でアクセスできる(東へ約20分)。
観戦したゲーム(1):
2002.05.11 Louisville Bats vs. Syracuse SkyChiefs