Chugoku

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(広島県広島市)
下関球場(山口県下関市)
西京スタジアム(山口県山口市)
かさおか古代の丘スポーツ公園野球場(岡山県笠岡市)
倉敷マスカットスタジアム(岡山県倉敷市)
しまなみ球場(広島県尾道市)
絆スタジアム(山口県岩国市)
二河球場(広島県呉市)
広島東洋カープ由宇練習場(山口県岩国市)
いわみスタジアム(島根県邑南町)
佐伯総合スポーツ公園野球場(広島県廿日市市)
福山市民球場(広島県福山市)
三原市民球場(広島県三原市)
三次きんさいスタジアム(広島県三次市)
周南市野球場(山口県周南市)
岡山県営球場(岡山県岡山市)
広島市民球場(広島県広島市)
どんぐりスタジアム(広島県北広島町)
宇部市野球場(山口県宇部市)
防府スポーツセンター野球場(山口県防府市)
米子市民球場(鳥取県米子市)
 

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島
所在地:広島県広島市
開場:2009年
収容人数:33,000人

photo by 球場巡礼

・正式名称は広島市民球場。広島駅近くの国鉄貨物ヤード跡に建設された広島東洋カープ三代目の本拠地球場。ネーミング・スポンサーはカープの事実上の親会社であるマツダ。90年代から新球場を造るというウワサが出ては消え出ては消えの繰り返しで実際に着工されるまでは「ホンマにできるんじゃろか?」と半信半疑だったヒトも多かったのではないだろうか。
・オープン・コンコース、左右非対称、グループ用のテーブル席などアメリカのテイストを取り入れたMLB風味のスタジアム。用地の都合でレフト側に観戦スペースがほとんどない点や、なだらかな傾斜のフィールドレベルはかなりアメリカの球場に近い。コンコースの天井などに露出しているパイプ・ダクト類もカッコイイ。
・エンジ色の外装はチープな感じ。どうせならレンガ装飾にして重厚な感じを出してほしかった。
・フィールドレベルは全席ハネ上げ式の一人掛け。座席の幅が広く、前後の間隔も広い。アッパーデックは一人掛けだが背もたれはない。しかし全ての座席には足下にカップホルダーが付いてる。
・スタンド・座席はバッテリー方向に向くように角度が付いている。また外野側のスタンドはファウルゾーンに迫り出していて、アメリカの球場のように外野のファウルエリアはほとんどない。
・1塁側・ライト側のアッパーデックに座ると下段のスカイシートやテラス席がフィールド側にだいぶ迫り出していてかなり邪魔。手前側のファウルライン沿いがほとんど見えないのは大きなマイナス点と言える。意外と死角の多い球場である。
・外野席で旗を振っていた応援団はパフォーマンスシートと呼ばれる両翼の独立したアッパーデックに隔離されるようになった。応援をしない一般のファンにとってはありがたい住み分けである。
・レフト側の外野は道路を挟んですぐ向こうに鉄道が通っているためスタンドがほとんどない。内野席からは左中間を往来する在来線や新幹線が見え、鉄ちゃんも兼ねている野球ファンにはたまらない眺望となっている。外野の形状も線路の関係で少々イビツな感じになっている。
・照明は日本では珍しい縦長タイプ。内側に傾いている。
・スコアボードは旧球場のものを踏襲したかのような20世紀仕様の和風なデザイン。2019年になってようやく全面LEDにアップグレードされた。
・左翼101m、中堅122m、右翼100m。数字的にはレフトの方が深くなっているがこちらは線路の関係でふくらみがなく、実際はライトの方が深くなっている。
・球場の周辺は民家やマンションが並ぶ生活感のあるエリア。住宅地の中に球場が埋もれている感じ。
・球場周辺のマンホールのフタにはカープ坊やが描かれている(数は少ないが色つきのものもある)。
・球場には広島名物「むすびのむさし」の常設店舗が入っている。また球場内では誰に聞いても「普通のうどん」という答えしか返ってこない旧球場の名物だったカープうどんが引き続き販売されている。
・レフト側の2階席(ビジターパフォーマンス席)の本来屋根ができるであろう箇所は骨組みのままで放置され一向に屋根ができる気配がない。
・開場から2015年までは内野の土は黒っぽい暗い色だったが2016年からは赤っぽい明るい色に変更された。内外野の芝を貼り替えた時に同時に土も入れ替えたとの事。
行き方:JR山陽本線「広島」駅から線路沿いに東へ徒歩10分。紙屋町、八丁堀などの繁華街方面からは広島駅行の路面電車で「猿猴橋町」下車、徒歩10分。また紙屋町方面から広島バスの21号線向洋大原・洋光台団地行きは広島駅前を経由して球場のライト側にある「マツダスタジアム前」という停留所まで直接行く。同じ21号線でも広島駅前止まりのバスもあるので注意。運賃は220円。(21年06月現在)
観戦したゲーム(54):
2023.08.20 セントラル公式戦 広島−読売
2023.10.14 クライマックスシリーズ ファーストステージ 第1戦 広島−横浜DeNA
2023.10.15 クライマックスシリーズ ファーストステージ 第2戦 広島−横浜DeNA

下関球場(オーヴィジョンスタジアム下関)
所在地:山口県下関市
開場:1988年
収容人数:25,000人

photo by 球場巡礼

 下関といえばフグとクジラの町として有名だが実は横浜DeNAベイスターズの球団創設の地であることはあまり知られていない。ホエールズが下関をフランチャイズとしていたのが1950年からたった3シーズンと短期間だったのが理由かも知れない。ただし現在の下関球場は当時のホエールズの本拠地だった下関市営球場とは全く別モノで、1988年に下関北運動公園内に新しく造られたもの。最初っから1軍の公式戦を誘致する為に造られたので設備・キャパともに県のメインスタジアム並のグレードを備えている。以前はベイスターズが年に1回は公式戦かオープン戦でホーム・カミングしていたが親会社がDeNAになってからはさっぱりご無沙汰になった。また以前はベイスターズのファームもジャイアンツを引き連れての夏場の長州遠征が恒例となっていたがこれもなくなった。2019年3月に球団創設70周年事業の一環として2012年以来久しぶりにベイスターズのオープン戦が組まれたが無情の雨で中止となったのは記憶に新しい。この試合ではベイスターズは球団創設当時の「マルハ」のロゴ入り復刻ユニフォームを羽織る予定で、レプリカユニフォームや下関限定のベイスターズグッズなどの物販も準備していた。
 球場はちょっとした丘陵の上に造られておりスタンドからの視界を遮るものはなく空がど〜んと広い。そして1塁側・ライト側には海がはっきりと見える。スタンドは典型的な量産型地方球場の様式。ネット裏のグリーンのシートだけ背もたれ付一人掛けのデラックス仕様、他の内野席は一応セパレートになっているが背もたれはなし。ベースライン沿いの外野側はプラッチックのベンチシート。プロ野球のナイトゲームができる程の立派なハエ叩き型照明を備えているにもかかわらずスコアボードは何故かアナログな手書きだった…(2006年に後磁気反転の電光式に更改された)。2017年3月より地元の不動産会社がネーミング・スポンサーとなり現在の名称に改められている。
 両翼100m、中堅122m。フィールドは天然芝。バックストップには白抜きで"SHIMONOSEKI"のペイント。ダグアウトの前からオン・デック・サークルまで人工芝の花道がある。外野は全て芝生席。外野席をぐるっと取り囲んでいる植え込みが整然としていて美しい。ベイスターズの二軍が「湘南シーレックス」と名乗っていた時代はマスコットのレックが遠征先で色んな出し物を披露するのが恒例になっていて、2004年の出し物は松平健の「マツケンサンバU」だった。前年の防府での「ゲッツ!」パフォーマンスよりはややウケていた。

行き方:JR山陽本線・山陽新幹線「新下関」駅からサンデン交通バス(3番のりばから出ている)に乗って10分弱、「蒲生野(かもの)」下車スグ。運賃は片道220円。ナイトゲーム終了後は時間によってはバスが走っていない可能性もある。新下関までバス道を歩くと約40分かかる。(22年04月現在)
観戦したゲーム(2):
2004.08.20 イースタン公式戦 湘南−読売
2019.03.10 オープン戦 横浜DeNA−広島・・・雨天中止
2022.04.03 ウエスタン公式戦 福岡ソフトバンク−中日

西京スタジアム(山口マツダ西京きずなスタジアム)
所在地:山口県山口市
開場:1995年
収容人数:15,000人

Photo by 球場巡礼

・山口市の市街地からかなり離れたスポーツの森と呼ばれるスポーツ・コンプレックスにある山口県のメインスタジアム。スポーツの森と聞くと野球場以外にも施設がありそうなもんだが本球場とサブ球場と多目的グラウンドがあるだけで他の施設は一切ない。球場は小高い丘の上にあり、最寄りのバス停からキツイ坂をえっちらおっちら登らないとたどり着けない。スタンドからの眺望は360度どこを向いても山。国道沿いに入口があるのでクルマでのアクセスは良さげだが球場から国道まで一本道なので試合終了後は激込みになる。大きなゲームがある時はサブ球場や多目的グラウンドが臨時パーキングに早変わりする。
・外観は量産型地方球場によくあるコンクリ打ちっ放しではなくブラウンが基調の落ち着いた感じ。
・オープン以来、カープ、ジャイアンツ、ベイスターズなどがオープン戦を行っているが、2007年になってようやくベイスターズ主催による公式戦が開催された。ベイスターズは大洋時代に下関を本拠地としていたことがあるためいまだに山口県内でたまに主催試合を行っている。
・スタンドの構造は日本各地で見られるごくオーソドックスなもので特筆すべき事項はない。
・内野スタンドはどこも高さが均一で外野の方へ行っても角度はついていない。座席は基本的に全て一人掛けだが背もたれが付いているのはバックネット裏のみ。ベースライン沿いの背もたれのないシートは色褪せてピンクに見えるがオープン当初の写真を見ると実はオレンジ色だったようだ。
・外野は芝生席。内野スタンドと外野スタンドは完全に分断されている。
・スコアボードはバックスクリーンと一体型でセンターに配置。2017年に全面LEDにリニューアルされた。
・両翼100m、中堅122m。フィールドは天然芝でナイター設備も完備。バックストップには"SAIKYO"ではなく"YAMAGUCHI"のペイントあり。そもそも"西京"という地名はなく、球場の名前はかつて山口が"西の京"と呼ばれていたことにちなむ。個人的には"サイキョー・スタジアム"という語感が非常に気に入っている。
・2018年からマツダのディーラーがネーミング・スポンサーになり、なぜか「きずな」の文字を挟み込んだ。同じ山口県の岩国市に絆スタジアムがあるのになぜわざわざ同じ名称をねじ込んだのかは不明。
行き方:JR山口線「宮野」駅より徒歩30分。駅前の道路を東(右)へひたすらまっすぐ。しばらく行くと国道9号線と合流するが構わずまっすぐ進むと左手にスポーツの森の入口が見える。途中にコンビニあり。あるいは駅前から少し歩いたところにあるバス停から防長バスで5分、「スポーツの森前」下車スグ。または山陽新幹線「新山口」駅から道の駅二保郷行きの防長バス(運賃は810円)、JR山口線「山口」駅から東萩駅行きのJRバスもスポーツの森を通る。(21年09月現在)
観戦したゲーム(2):
2009.03.07 オープン戦 横浜−埼玉西武
2021.09.05 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク

かさおか古代の丘スポーツ公園野球場(どんぐり球場)
所在地:岡山県笠岡市
開場:2000年
収容人数:286人+芝生席

・愛称の「どんぐり球場」の通り小粒でかわいらしいスモールスタジアム。掘ったら古墳が出てきたという運動場などがあるスポーツ公園内にある。アクセスはかなり不便だが駐車場は豊富。
・丘陵を切りひらいたところにあるので市街地からだいぶ離れており、周囲は田んぼや畑ばかり。スタンドからのビュウは木々と山のみ。
・スタンドは286人収容のバックネット裏とそれ以外の芝生席に分かれている。バックネット裏はおしりにちょこっと滑り止めが付いているベンチシートでブルーとオレンヂに色分けされている。全体に屋根がかかっており助かるが前方全て寸分くまなくバックネットがかかっており金網デスマッチ状態。どこに座ってもネット越しの観戦になる。芝生席は内外野共にフェンスが低いので見やすいが日陰はない。
・スコアボードはバックスクリーンと一体型でセンターに配置。ツヤ消しブラックに塗られたボディが背景の緑に映える。得点経過、選手名はパネル式。甲子園球場のスコアボードのように凸型になっていて先っぽ部分には時計がついている。得点経過の下に「どんぐり球場」との表記有り。
・球場正面の前には噴水がありバックネット裏スタンドに座っていると音が良く聞こえる。その日は天気の悪い日だったため噴水の音を雨音と勘違いして「えらい降ってきよったな」と…。
・2017年にジャイアンツの3軍が福山ローズファイターズ(社会人クラブチーム)と試合を行っているが、プロ野球の公式戦が開催されたことはない。
・2021年には初めて四国アイランドリーグの公式戦が行われた。これは2015〜2020年までカープに所属していた笠岡市出身の藤井皓哉(ふじい・こうや)が2021年に高知ファイティングドッグスに入団したので笠岡市が公式戦を誘致したとの事。藤井は予定通りこの試合に先発し、8回を1失点で勝利投手となった。地元の藤井投手目当てのお客さんだけでなく、高知のファンやカープファンとおぼしき人たちも球場に来ていた。
行き方:井原鉄道井原線「小田」駅から徒歩1時間。小田駅にはレンタサイクルがあるのでそれを利用すると20分くらい(1日500円)。あるいはJR山陽本線「笠岡」駅と井原鉄道井原線「矢掛(やかげ)」駅を結ぶ井笠バスの路線があるので、それで球場の最寄りバス停「森ヶ市」で下車、徒歩25分。(21年05月現在)
観戦したゲーム(1):
2021.05.15 四国アイランドリーグ公式戦 高知ファイティングドッグス−愛媛マンダリンパイレーツ

倉敷マスカットスタジアム
所在地:岡山県倉敷市
開場:1995年
収容人数:30,500人

photo by 球場巡礼

 正式名称は倉敷スポーツ公園野球場。老朽化していた岡山市の県営球場にかわって県のメインスタジアムとなった。完成して20年以上経つが、美しいスタンドのフォルムと見やすさは中国地方はおろか国内の地方球場の中でも間違いなく五指に入ると思う。とにかくどこに座ってもフィールドがよく見えるし、見た目も抜群にカッコイイ。スタンドはメジャーリーグの球場のような完全シンメトリーのダブルデックで、密かに1階席はセミ・オープン・コンコースになっている。基本的にはコンコースはスタンド裏にあるのだが1階席の最上段のみオープンになっているのだ。ダブルデックのスタンドは高さがある割にはフィールドがさほど遠くに感じない。これは上段へ行けば行くほどフィールドが遠くなる「すり鉢型」のスタンドでは味わえない感覚だ。またダブルデックだと内野の照明が屋根の上に横並びで配置されるので、これも個人的にはアメリカの球場のようで気に入っている。座席は全てセパレートタイプの背もたれ付き。前の席との間隔も広いので窮屈さは全く感じない。またスタンドの傾斜も結構あるので観戦中に前の人の頭が気になるコトもほとんどない。シートは席種によって赤・青・緑に塗り分けられているが、なんとなく散漫な印象を与えるのでどうせならグリーンで統一してほしかった。「ケチつけてなんぼ」をモットーとしている私も思わず脱帽してしまう、ほとんど非のうちどころのないパーフェクトな球場。
 両翼99.5m、中堅122m。外野席は地方球場にありがちな芝生席でもベンチシートでもなく全て一人掛けのイス席(背もたれはないが)。う〜むゴージャス。阪神、広島、楽天などがオープン戦、公式戦を行うほか、以前はオリックスも公式戦を行っていた。また地元出身の星野仙一が監督をするようになってから楽天が毎年秋季キャンプとオープン戦を行っている。せっかくいい球場なのでもっと試合で使ってほしいが近年は公式戦の開催が少なくなっている。愛称はフィールドの芝が地元の名産マスカットのように鮮やかなグリーンである事から名付けられた。しかし悲しいコトにオープン戦の時期は芝生が完全に枯れていて何とも惨めな気分にさせられる…。せっかくマスカットと名乗るのならキチンと夏芝と冬芝の二期作をして下さい。
行き方:JR山陽本線「中庄(なかしょう)」駅より徒歩約10分。中庄へは倉敷駅から岡山方面へ1駅(5分)、岡山駅から倉敷方面へ2駅(10分)。
観戦したゲーム(5):
2005.03.06 オープン戦 阪神−西武

2008.03.02 オープン戦 阪神−オリックス
2019.03.09 オープン戦 東北楽天−埼玉西武

しまなみ球場
所在地:広島県尾道市
開場:2002年
収容人数:16,000人

photo by 球場巡礼

 山の斜面を切り開いて造られたびんご運動公園内にあるので正式名称はびんご運動公園野球場。県立の球場である。坂の町・尾道らしく球場はきつい急勾配を登り切ったところにあるが、スタンドからの眺めは残念ながらムキ出しの山肌と雑木林が見えるのみ。「しまなみ」と名乗ってはいるが尾道の象徴である瀬戸内の海は全く見えない。フィールドの形や規格、ファウルエリアの広さ、内野の黒土と白砂の割合などが甲子園球場と全く同じという事で全国的にその名が知られている。ちなみに甲子園球場にはフィールドの設計図がなかったのでこの球場は航空写真を元に計測した数値で造ったとの事。なので正直どこまで正確に甲子園球場のフィールドを再現できているのか怪しい。実際に甲子園球場は平成の大改修の際に改めてフィールドサイズを計測し直したら発表よりも両翼が1m、中堅が2mほど狭かったことが発覚している。
 21世紀の球場だけあって日本各地でよくみかける無粋な量産型球場より見た目や住環境の快適さが格段に進歩している。座席の間隔が広めなのでゆったりと観戦できるし、スタンドには車イスも通れる広くて歩きやすいスロープが中段と最上段に設えてある。バックネット裏の座席は半背もたれ付きの一人掛け。ベースライン沿いスタンドのちょうどブルペンのあたりは下段が芝生席になっており、子供達が投球練習をしているピッチャーに群がっていた。ゲームに飽きたキッズはスタンドで走り回らずこちらでどうぞ。外野席も芝生だけでなく上半分が背もたれ付きの一人掛け席になっており、わしゃあ余所の球場とは気合の入り方が違うんじゃ、という優越感がビシビシと伝わってくる(ちなみにこのシートはFIFAワールドカップが終わりダウンサイジングした神戸のノエビアスタジアムから持ってきたらしい)。しかしこれだけ立派なスタンドがありながら、屋根がないのはつくづく惜しい。
 両翼96m、中堅120m。外野フェンスのふくらみ加減も甲子園と同一だそうな。フィールドは天然芝でナイター設備あり。スコアボードはバックスクリーンと一体型でセンターに配置。開場以来カープ主催の公式戦、オープン戦、ウエスタン公式戦が行われている。

行き方:ゲームのある日はJR山陽本線「尾道」駅から直通の臨時シャトルバスが運行される。所要時間は約20分、運賃は片道280円。球場へ着く前に新幹線の「新尾道」駅にも寄るので新幹線でアクセスする人も安心。ちなみに新尾道駅で乗車すると運賃は150円。(18年09月現在)

観戦したゲーム(3):
2003.07.27 ウエスタン公式戦 広島−阪神

2007.04.08 ウエスタン公式戦 広島−阪神・・・カープ先発はドラ1ルーキーの前田健太
2018.09.01 ウエスタン公式戦 広島−阪神

絆スタジアム
所在地:山口県岩国市
開場:2017年
収容人数:8,000人

photo by 球場巡礼

・日本の防衛省が岩国駐屯のアメリカ海兵隊員用住宅を愛宕エリアに造営するにあたり、岩国市へのプレゼントとして建設された愛宕スポーツコンプレックス内にある。コンプレックス内の施設の維持費はアメリカと日本がワリカンで出すため、球場を含めた施設全体をアメリカ軍と日本が共用するという珍しいスタジアム。敷地内には公園やソフトボール用のグラウンド2面、ピクニック広場が併設されている(ここらが非常にアメリカっぽい)。
・シングルデックだが外野芝生席を含めて8000人を収容できるだけあって見た目はかなり立派。
・バックネット裏のスタンドには台湾風の白いタープ屋根があり、スタンドの3分の1くらいは日陰になる。
・2018年2月に3日間だけカープ2軍の春季キャンプが行われ、2018年4月には初のプロ野球となるカープ主催のウエスタンリーグ公式戦が行われた(尚、このゲームは前売りの時点でソールドアウトとなり当日券は一切販売されなかった)。
・内野スタンドからはレフト方向に海が見える。
・ブルペンは外野のベースライン沿いのスタンドにめり込むカタチで造られておりスタンドから見ることができる。
行き方:JR山陽本線「南岩国」駅から徒歩20分弱。南岩国駅のホームから球場の照明が丘の上に見えるが最短距離では行けず、ぐるーっとまわって岩国医療センターの方からアクセスする。南岩国駅と医療センターと岩国駅を結ぶいわくにバスでも行ける(岩国医療センターで下車)。
観戦したゲーム(1):
2018.04.21 ウエスタン公式戦 広島−阪神・・・初のプロ野球開催

二河球場(鶴岡一人記念球場)
所在地:広島県呉市
開場:1951年
収容人数:15,000人

Photo by 球場巡礼

 この球場はかつて南海ホークスが春季キャンプを行っていたことでよく知られているが、1993年に全面改装してからはカープの試合が定期的に行われるようになり今ではすっかりホークスよりカープの印象の方が強くなってしまった。屋外プールや陸上トラック、テニス場、スポーツ会館(中に呉出身のレジェンド・鶴岡一人の記念展示室がある)などを併設している二河(にこう)公園内に位置する。スポーツニュースや新聞紙上では呉二河球場と呼ばれているが、球場サインは呉市営二河球場。93〜99年まではカープの公式戦が毎年行われていたが2000年以降突如ぱったりと行われなくなり、もぉ呉で公式戦は見られんのか…と悲嘆に暮れていた2006年のオフ、これまた突如として公式戦の復活がアナウンスされた。告知など満を持して開催された2007年8月21日の横浜戦は8年振りの公式戦となり、スタンドは歓喜のカープファンで深紅に染まった。
 スタンドは内野と外野が完全に分断されており、内野スタンドはポールに向かうにつれて列数が少なくなってくる先細りタイプ。バックネット裏にちょっとしたカバーがかかっており、その下の座席のみ背もたれつきの一人掛け、それ以外はお尻止めのある一人掛け席。最前列と最上段に加えてスタンド中程にも通路があり移動がしやすい。1塁側のすぐ向こうは道路になっているので1塁側にだけ立派な防球ネットが張り巡らされている。外野の向こうは呉の市街地、スタンドの裏には二河川が流れ、その向こうには山が迫る。ウレシイことに内外野ともフェンスがかなり低く、子供がもたれかかっても肩から上が出るほどで視界の透明度は最高レベル。
 両翼97.5m、中堅122m。フィールドは天然芝でナイター設備あり。スコアボードはバックスクリーンと一体型でセンターに配置。スタンド裏のコンコースに「東郷平八郎元帥直伝のレシピで作った肉じゃが」の屋台が出ていた。呉市は京都府舞鶴市と共に「肉じゃが発祥の地」として名乗りを上げているが味はまぁ普通だった。2019年から地元の建設会社がネーミング・スポンサーとなったが球場の名称に自社の名前を入れず郷里のヒーロー鶴岡一人の名前を入れた。パチパチパチ…
行き方:JR呉線「呉」駅より今西通りを北へ徒歩約20分。呉市体育館まで来たら西へ折れ、しばらく行くと右手に球場の照明が見えてくる。駅前から呉市営バスでも行ける(「上山手橋」か「プール前」で下車)。
観戦したゲーム(2):
2007.08.21 セントラル公式戦 広島−横浜・・・8年振りの公式戦開催
2017.04.16 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク

広島東洋カープ由宇練習場
所在地:山口県岩国市
開場:1993年
収容人数:全席芝生

Photo by 球場巡礼

・入場無料。駐車場は有料。
・スタンドにはイス席なし。日陰なし。バックネット裏には観戦スペースなし。
・レジャーシートや折りたたみチェアは必須。
行き方:JR山陽本線「由宇(ゆう)」駅から岩国市営由宇バスの笠塚カープ練習場前行きで約25分、終点で下車。運賃は片道450円。バスは土日祝も含めて1日7便しか運行されていないので必ず事前に時刻表を調べておくこと。(17年04月現在)

観戦したゲーム(3):
2000.05.02 ウエスタン公式戦 広島−中日
2011.04.10 ウエスタン公式戦 中日−広島・・・東日本大震災のため中止になった中日の主催試合の代替開催
2017.04.15 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク


いわみスタジアム
所在地:島根県邑南町
開場:1994年
収容人数:7,000人

photo by 球場巡礼

・山間にある秘境クラスのスモールスタジアム。現在のところ島根県唯一のプロ野球開催球場。広島市内からクルマで簡単にアクセスできるのでカープファンにとっては裏庭的存在で市内からの遠征組が結構多い。
・旧・石見(いわみ)町にあるので球場名も旧町名がそのまま使われている。
・隔年でカープがウエスタンリーグの主催試合を行う。2015年はソールドアウトとなった。
・バックネット裏スタンドのみ座席があり、その他のベースライン沿いの内野席や外野席は全て芝生。バックネット裏スタンドは座席と言っても全てベンチシートで屋根もない。おまけに金網が近くて見にくいのでおすすめはできない。
・スコアボードはセンターに配置。スコアが磁気反転、選手名がパネル式というハブリッドの年代物。遠くからでもサビが浮いてるのが確認でき、メンテナンスはあまりされていない模様。
・ゲーム開催の日は球場の外に屋台が並び、ちょっとしたお祭りモードになる。球場の周囲にコンビニなんぞは当然ないが球場で食料を調達できるので飢えることはないだろう。
・定期的にNPBの公式戦が行われる球場としてはおそらく日本イチのアクセス難易度だと思われる。クルマがない人にとってはタクシーをチャーターするしか手段はない。
行き方:最寄り駅と呼べるものがなく、公共の交通機関でのアクセスはかなり困難。広島〜浜田を結ぶ高速バスを瑞穂インターで降り、そこから町営バスで球場の近くまで行ける。町営バスは土日は一日に2本しかなく、いずれも高速バスの到着に合わせて出発する。土日はデーゲームが終わったあと瑞穂インターへ戻るバスはないので歩くしかない。(15年05月現在)
観戦したゲーム(1):
2015.05.31 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク

佐伯スポーツ公園野球場
所在地:広島県廿日市市
開場:1993年
収容人数:2,260人

photo by 球場巡礼

・アリーナや競技場、テニスコートなどを備えた山間のスポーツコンプレックスにあるスモールスタジアム。スタンドはバックネット裏のみで260人収容。ほかはすべて芝生席で一応2,000人収容となっている。
・2003年から毎年カープの二軍戦が行われている。2013年、2014年は雨天中止のため2015年は3年振りの開催となった。
・ウエスタンの公式戦は球場の指定管理者でもあるNPO法人「ポラーノ」が主催しているが、ポラーノの副理事長にはカープOBの故・山本一義氏が名を連ねていた(生前は試合開始前のスピーチにも登場していた)。
・ちなみに「佐伯」は「さいき」と読む。ちなみにウエスタンがたまに行われる大分県の佐伯市も「さいき」なので間違わないように。
・1塁側の芝生席のうしろにうどんややきとり、お菓子などの売店が出る。カープグッズを売る売店も出る。
・レジャーシートやチェア持参の地元の家族連れがマジョリティ。芝生席はピクニックのような雰囲気が充満しており、望遠レンズをかかえた追っかけ風ギャルや私のようなボールパーク・トリッパーはよその地方球場ほどは見かけない。
・芝生席は高さがないのでフェンスがじゃまで見にくい。バックネット裏も全面にびっしりフェンスが張り巡らされていてこれも見にくい。外野芝生席は真っ平らなのでフェンスに張り付いての立ち見しかできない。
・スコアボードはバックスクリーンの左側に設置されている。得点は手差し、カウントの並びは2015年現在でまだSBOのまま。選手名は表示されないので仮設のボードがバックスクリーンの右側に設置されていた。
・スタンドから見えるのは山ばかり。
・両翼92m、中堅120m。フィールドは天然芝でナイター設備あり。両翼が短いような...。
行き方:JR山陽本線「宮内串戸(みやうちくしど)」駅から広電バスの佐伯線・津田行きで約40分、「佐伯中学校前」下車、徒歩10分。バス道からスポーツ公園への上り坂をひたすらのぼる。バスストップの近くにコンビニ有り。運賃は片道650円。土日は本数がぐっと減るので要注意(15年04月現在)。
観戦したゲーム(1):
2015.04.12 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク

福山市民球場
所在地:広島県福山市
開場:1974年
収容人数:15,453人

photo by 球場巡礼

 芦田川の下流に位置する竹ヶ端(たけがはな)運動公園内にあり、正式名称は竹ヶ端運動公園野球場。しかし一般的には福山市民球場として知られ、チケットや日程表にもそのように表記されている。バックネット裏を含む内野スタンドが一層でベースライン沿いのスタンドが二層になっているので外野から見ると"凹"のカタチに見える。ベースライン沿いのスタンドがダブルデックになっている地方球場は結構レアな存在。この点においてはオープン戦やファームの公式戦しか開催できないB級球場よりグレードはやや上で私的にはここはB+とレイティングしている。以前は外壁のコンクリに黒ずんでヒビが入っていてみすぼらしかったが、2010年の再訪ではきれいに白く塗り直されていた。バックネット裏のオレンジ色のシートは背もたれ付きの一人掛け、その他の座席は全てベンチシート。ベースライン沿いのフェンスが結構高くて目障りなので、一番見やすいのは一階席最後尾の通路での立ち見かも。ちなみにベースライン沿いのスタンドはフィールドレベルに設置されているのでまぁまぁ臨場感を味わえる。バックネット裏、ベースライン沿い、外野の各スタンドは完全に分断されていて行き来はできない。毎年カープが毎年オープン戦を開催している。当然カープファンの占拠率が非常に高く、応援も相当アツイ。2015年のオープン戦は前売りの時点でソールドアウトとなり当日券は一切販売されなかった。
 両翼90m、中堅120m。1軍の公式戦が行われる球場の中で最も両翼が短い球場である。フィールドは天然芝でナイター設備あり。ホームベースのカタチをした照明は見過ごされがちだがよくよく見ればなかなかかわいらしい。外野は全て芝生席。内野席と外野席の価格差が激しいので(内野席は外野席の倍以上する!)、いつも外野席ばかりが埋まりギュウギュウ状態になるとの事。チケットの価格をも少しバランスよくして頂きたいもんです…。
行き方:JR山陽本線「福山」駅から鞆鉄(ともてつ)バスで20分弱。駅前のバス乗り場(11番)から出ている「運動公園」「竹ケ端」行きに乗り、「運動公園」で下車。片道380円。試合のある日は直行の臨時バスも出る(運賃・所要時間同じ)。(15年03月現在)
観戦したゲーム(3):
2003.03.23 オープン戦 広島−オリックス
2010.03.07 オープン戦 広島−千葉ロッテ
2015.03.14 オープン戦 広島−オリックス

三原市民球場
所在地:広島県三原市
開場:1992年
収容人数:5,890人

photo by 球場巡礼

・三原運動公園内。
・2014年にスコアボードをLEDにリニューアルし、内外野のラバーフェンスを取りかえた記念に初めてウエスタン・リーグ公式戦が開催された。チケットは朝10時の時点で売り切れ。
行き方:JR山陽本線「三原」駅から芸陽(げいよう)バスの小泉線か三原本郷循環線で約20分、「見初橋」下車徒歩10分。1日10本もなく、土日祝はさらに本数が少なくなる。球場の最寄り駅は三原ではなく本郷なのでそっからタクシー利用が現実的。
観戦したゲーム(1):
2014.05.18 ウエスタン公式戦 広島−中日

三次きんさいスタジアム
所在地:広島県三次市
開場:2009年
収容人数:16,000人

Photo by 球場巡礼

・みよし運動公園内にあるので、正式名称はみよし運動公園野球場。三次を「みよし」とスッと読める人はなかなかいないのでは?
・メインゲート前に三次市出身で殿堂入りのレジェンド・岩本義行(戦前・戦後期に活躍した元祖・神主打法の名選手)のレリーフがある。
・2009年のオープン以来カープの一軍と二軍が毎年かわりばんこに公式戦を開催している。
・通常は6基ある照明がここは4基しかない。
・オープンコンコース、スタンドとフィールドの高低差がほぼなし、ベースライン沿いのスタンドに角度がついているという国内では相当レアな北米スタイルの回遊型スタジアム。かなり観戦しやすい。
・ライト側の外野芝生席がめちゃ広い。
・内外野ともに全面人工芝。もし天然芝なら日本でイチニを争うベスト地方球場に推挙されているだろう。
・従来の量産型地方球場とは根本的に構造が違う、次世代球場の嚆矢となるべき球場である。今後の中規模地方球場のお手本になってほしい。
行き方:JR芸備線「三次」駅から備北交通バスの三次中央病院行きで約10分。
観戦したゲーム(1):
2013.06.30 ウエスタン公式戦 広島−阪神

周南市野球場(津田恒実メモリアルスタジアム)
所在地:山口県周南市
開場:1971年
収容人数:15,000人

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・山口県内の地方球場四天王のひとつ。山口県はオープン戦や公式戦を開催できる一軍クラスの球場が4つもある野球場王国である(四天王の他の3つは下関、宇部、西京)。
・周南緑地運動公園と呼ばれている広大なスポーツコンプレックスの一角にあり、球場は陸上競技場と隣接している。
・球場が完成した当時はまだ徳山市だったので当時は徳山市野球場と呼ばれていた。2003年の平成の大合併で周辺の市・町と合併し周南市となって以降は現在の名称に改められた。
・2011年の山口国体の際に外野が両翼100m、中堅122mに拡張され、スコアボードはLEDに生まれ変わり、SBOの並び順は国際規格のBSOに変更された。
・球場の外周には椰子の木が並んでおり、ど派手な水色にペイントされたスタンドの外観と相まってなにやらあやしいトロピカルな雰囲気を醸し出している。
・2012年12月に同市出身のレジェンド・津田恒実の野球殿堂入りをたたえるため、愛称を津田恒実メモリアルスタジアムとした。翌2013年3月10日のオープン戦にてセレモニーが行われ、元カープの北別府、山崎隆造による始球式と津田晃代夫人によるスピーチが行われた。
・球場の正面ゲートには津田の現役当時のスパイクやユニフォームなどのメモラビリアと写真・通算成績などのパネルが展示されている。
・数年おきに主に広島や読売の主催でオープン戦が行われるが、公式戦は1989年以降行われていない。
行き方:JR山陽本線「櫛ケ浜」駅より徒歩15分。JRの線路を越え、新幹線の高架をくぐり、住宅地の坂道をのぼってゆくとひらけた高台にスポーツセンターがある。徳山駅から歩くと30分弱はかかる。
観戦したゲーム(1):
2013.03.10 オープン戦 広島−横浜DeNA・・・試合前に津田恒実メモリアルスタジアム命名の記念セレモニーあり

岡山県営球場
所在地:岡山県岡山市
開場:1951年
収容人数:13,199人

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 今もなお強烈な昭和臭を散布し続けている隠れた珠玉のスモールスタジアム。21世紀の現代に置いてこれほどオールドスタジアムの雰囲気を残している現役球場は希有な存在と言えるだろう。この球場はそのデビューからして鮮烈だった。こけら落としは1951年11月13日に行われた日米親善野球大会。この年の日米野球は大リーグ選抜が13勝1敗2分で日本に圧勝するのだが、唯一大リーグ選抜に黒星がついたのがここ岡山だったという。ちなみにこの時の大リーグ選抜を率いたのは現役最後のシーズンを終えたばかりの"ジョルティン"ジョー・ディマジオだった(外野手兼監督として参加)。オープン以来プロ野球、特に阪神の主催試合が頻繁に行われていたが、1995年に倉敷マスカットスタジアムが完成するとプロ野球開催は倉敷に移行し、岡山は専らアマチュア専用のフィールドになってしまった。現在のトコロ最後のプロ野球開催は2002年5月5日に行われたウエスタンリーグのサーパス(現オリックス)−広島戦となっている。
 グレードとしてはBマイナーくらいだろうか。スタンドはフィールドをぐるっと円形に取り囲むコロシアム・スタイル。内野スタンドが美しい曲線を描いて外野芝生席につながる結合部分はセクシーですらある。内野はバックネット裏だけが一人掛けであとは全てベンチシート。ベースライン沿いのポール際に至ってはシートすらないコンクリむき出しの席になっている。昔の球場なのでスタンドはなだらかで傾斜があまりなく、最後列に座ってもフェンスが目線にかかってしまう。この球場で見逃せないのはスコアボード。手書き&ハメ込み式なのは言うまでもないが問題はSBOの表示方式。なんとタテ!左からSBOが並んでいるのだ。これまで色々な球場を見てきたがSBOがヨコではなくタテに表示されているのは初めて見た。照明は二本足の鉄骨に支えられた幅広の正統派キャンドルスティック・スタイル。電球の数が多いのでやけに明るく、闇の中にフィールドが浮かび上がる様は非常に美しい。
 両翼91m、中堅122m。両翼がやけに狭い。フィールドは天然芝。21世紀になってから各所に手を入れており、嬉しいことにまだまだ現役の球場として使い続けるようだ。以前はバックネット裏正面入口の上に「岡山県野球場」というサインが掲げられていたらしいが改装後に取り外され、現在は「BASEBALL STADIUM」とだけペイントされている。清潔感のあるレトロな外観は岡山市出身でJR九州の列車やさいたまスーパーアリーナのデザインでおなじみの水戸岡鋭治氏の手によりリノベイションが施されている。
行き方:JR山陽本線「岡山」駅より北へ徒歩約15分、岡山県総合グラウンド内に位置する。岡山駅西口から西口筋と呼ばれる大通りを北へ、交差する国道を越えると西側一帯が総合グラウンドになっている。総合グラウンド内の体育館と陸上競技場はそれぞれ「桃太郎アリーナ」、「桃太郎スタジアム」と呼ばれているが、野球場には桃太郎の称号は与えられていない...。
観戦したゲーム(2):
2006.08.21 四国アイランドリーグ公式戦 高知ファイティングドッグス−香川オリーブガイナーズ・・・リーグ史上初の四国外での開催
2011.08.14 四国アイランドリーグ交流戦 香川オリーブガイナーズ−福岡ソフトバンクホークス(3軍)

広島市民球場
所在地:広島県広島市
開場:1957年
収容人数:32,000人

 1941年開場の広島総合球場に代わりカープの二代目本拠地球場。プロ野球の日程の合間を縫って高校野球や社会人などアマチュアの試合も数多く行われ、文字通り市民からプロまでが同じフィールドに混在する非常に庶民的なスタジアムだった。広島という独特の土地柄を反映したのか、近代プロ野球の応援の雛形ともなったトランペットによる伴奏やジェット風船を生み出した球場でもあり、カープ独特の応援スタイルである「スクワット・コール」のメッカでもあった。昭和生まれの同年代の球場が一通りドームに取って代わられるなか、この球場だけは、意図してのことかどうかはひとまず置いといて、最後の最後まで時代の波に抵抗し続け「昭和レトロ」の看板を守り続けた。
 球場は郵便局やNTT、バスセンターといった町の主要な建物が隣接する市街地のど真ん中に位置し、3塁側スタンドの向こうには原爆ドームと平和記念公園が、1塁側スタンドの向こうにはカープ命名の元にもなった「鯉城(りじょう)」こと広島城がひかえている。そんな都会の喧噪の中にありながら時間が止まっているかのような市民球場の雰囲気はいつも我々をノスタジックな気分にさせてくれ、閑散としたスタンドにも愛おしさを覚え、そしてカープの愛すべき弱さにホロリとさせられるのだ。
 開場当時スタンドは一層だったが1987年に約5,000人を収容できる2階スタンドが完成しそれが球場の完成形となった。その2階スタンドだが最前列に通路があるのはどう考えても設計ミスではないだろうか?試合中ひっきりなしに売り子に前をちょろちょろされるのは如何なものかと...。この球場はとにかくフィールドが近い。2階席の最後列に座っても余裕で近い。1階席から見ようものならもぉすぐソコでプレイしているような感じ。その代わりフィールドも実際狭く、それは外野手の守備位置を見るとよくわかる。外野フェンスにかなり近い場所が定位置になっているのだ。スタンドに関してもやはりと言うか当然狭くて、座席の幅、前後の間隔、通路、階段のステップなどもはや現代人の体躯には完全にフィットしなくなった。50年で日本人は相当大きくなったのだなぁと思わず実感。
 両翼91.4m、中堅115.8m。フィールドは天然芝。レフトスタンド後方には球場名物である西日を遮る為のスライド式広告ボードが設えてある。個人的にはこの球場は歴史的な価値もあるので原爆ドームと共に保存してほしいと提案していたが、2009年秋をもって閉鎖となりその後は解体されることが決定した。最後の公式戦は2008年9月28日の東京ヤクルト戦となり、試合終了後にはさよならセレモニーが行われた。また2009年のオープン戦4試合は新球場ではなくこちらで開催された。
行き方:JR山陽本線「広島」駅前から広島電鉄の2番「広電宮島口」行か6番「江波」行に乗り、「原爆ドーム前」下車スグ。運賃は150円で所要時間は約15〜20分。(09年03月現在)
観戦したゲーム(6):
2000.05.03 セントラル公式戦 広島−ヤクルト
2004.08.21 セントラル公式戦 広島−読売

2007.08.22 セントラル公式戦 広島−横浜
2008.09.28 セントラル公式戦 広島−東京ヤクルト・・・公式戦ファイナルゲーム。カープ先発前田健太が惜別のアーチをかける
2009.03.08 オープン戦 広島−千葉ロッテ
2009.03.22 オープン戦 広島−阪神・・・正真正銘のファイナルゲーム
市民球場最後のオープン戦
市民球場最後の公式戦

どんぐりスタジアム
所在地:広島県北広島町
開場:1997年
収容人数:約1,000人

Photo by 球場巡礼

 何もない田舎町がこっそりと立派なアリーナや野球場、宿泊施設などを備えたプチ・スポーツ・コンプレックスを持っているケースがある。自治体の規模にしては立派すぎるぞ?ってヤツ。日本の各地でそうゆう箱モノを作るのが流行った時代があったが、ここもきっとそんな中の一つだというコトは容易に想像できる。そうゆう規模の球場では年に1度かあるいは数年に1度、ファームの公式戦を誘致するために地元の人が色々動いているのだが、ここも例外ではなく「どんぐりクラブ屋台村」という地元の組織がボランティアを巻き込んでカープの試合を毎年1試合開催している。チケットには入場料ではなく「運営協力金」と書かれている。泣かせるではないか。以前は無料で観戦できたらしいが、いつの頃からか運営協力金として現金を徴収しているのだ。
 ウエスタン・リーグの日程表では「豊平」と表記されているが、現在豊平町は市町村合併により北広島町になっている。広島市の北に隣接する山間の長閑な町で、球場は「道の駅 豊平どんぐり村」に隣接している。道の駅にくっついてる球場なんて滅多に見かけないが、それくらいで驚いていてはいけない。愛好家の間ではもはや常識として知られているが、この球場は(恐らく)当時のプロ野球開催球場で唯一外野に芝がインストールされていない「砂のアウトフィールドを持つスタジアム」だったのだ。ファームとはいえ砂の上でプロの外野手がボールを追いかけてるなんてオドロキ以外のナニモノでもない。一見芝が枯れているかのように見えるが、外野フェンスに近づいてみるとハッキリわかる。砂である。試合前のグラウンド整備は地元の野球部総出でとんぼがけを行うのだが、時間がかかる、かかる!
 元々は豊平町総合運動公園野球場と呼ばれていたが、今は運営権自体が「どんぐりクラブ屋台村」に移っているようなのでどんぐりスタジアムが正式名称なのだろう。正面入口を兼ねている立派なバックネット裏スタンドがあり、そこには上記の2通りのボールパーク・サインが表示されている。猫の額ほどの大きさのスタンドは全席ベンチシートで全面ネット貼り。もちろん日差しを遮る屋根は一切ない。ベースライン沿いと外野は全て芝生席。ここは目障りなフェンスが高くてフィールドが見にくい。この球場ではどこに座ってもフェンス、ネット越しの観戦になってしまう。
 両翼91m、中堅120m。ナイター設備はおろか、選手の控え室もない。選手はダグアウトの脇に設えられたテントの中で着替えをし、安っぽいパイプイスに腰掛けて試合開始を待つ。ビジターチームは球場の横のグラウンドでアップや練習をするのだが、そこは試合前になるとパーキングに早変わり。何から何まで全てがハンドメイドの愛すべきスモール地方球場の決定版である。

【残念なお知らせ】
2009年夏、ついに外野に芝が敷かれてしまい砂の時代は終わりを告げた...。
行き方:広島バスセンターより広電バス「豊平・琴谷線」で約90分、「龍頭登山口」下車。運賃は片道1,000円。お土産は道の駅で名物の「豊平ソバ」をどうぞ。
観戦したゲーム(1):
2008.07.21 ウエスタン公式戦 広島−福岡ソフトバンク

宇部市野球場
所在地:山口県宇部市
開場:1998年
収容人数:20,000人

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 恩田運動公園内にある、個性は全くないが非常に完成度の高い素晴らしい球場。もしスポーツニュースなどでこの球場の映像が流れても、即座にどこの球場かを言い当てるのは相当な手練れ(←地方球場マニアの事ですな)でも難しいだろう。それ程特徴がない。外観、スタンド、シート、照明灯、スコアボード、どれをとっても見事なまでの普通っぷりだが、実は平凡な球場ほど観戦しやすい、と言うのがこの世界の定説。実際どの座席も広くてゆったりしており、傾斜も適度についているので快適指数はかなり高い。バックネット裏のブルーの座席は一人掛けの背もたれ付き、その他の座席もお尻のスベリ止めが付いている一人掛けイス。90年代も後期になると安易にベンチシートで済ます事など許されないのだ!ネット裏の上段席を覆うひさしはモダンなツヤ消しブラック系の色で結構ボリュウムがある。これが唯一の特徴と言えなくもない。スタンドからの眺めは穏やかな周防灘が一面に...と言いたいトコロだが現実は住宅、マンション、工場、送電線などがひたすら続く。まさに「日本の正しい地方都市的風景」と言った感じ。
 両翼100m、中堅122m。フィールドは天然芝でナイター設備あり。外野は全て芝生席。現在の球場は二代目で、旧球場を取り壊した跡地に建設された。開場した年には広島が公式戦を行っており、その後も読売・横浜がオープン戦を行っている。新球場建設の予定があり、手っ取り早くハコだけ造りたい地方公共団体はこの球場をお手本にするといい。ここくらいのグレードがあればオープン戦や数年に一度は公式戦を誘致できるかも知れない。ただ、私としてはこれ以上没個性的な球場が増えても激しくツマランわけで...。
行き方:JR宇部線「東新川」駅より徒歩約20分。駅を出てまずは左へ(南東方向)、ひたすら進むとスーパー「マックスバリュ」があるのでそこで左折すると(つまり東へ)照明灯が見えてくる。わかりにくければマックスバリュで曲がらずまっすぐ進み、国道190号線へいったん出て左折すれば左側に球場が見える。ちなみに東新川駅は無人駅で列車の本数もかなり少ないので要注意。バスで行く場合はJR宇部線「宇部新川」駅から宇部市営バスの「山口宇部空港循環」線に乗り「恩田運動公園」下車。
観戦したゲーム(1):
2004.08.22 イースタン公式戦 湘南−読売

防府スポーツセンター野球場
所在地:山口県防府市
開場:1975年
収容人数:11,000人

Photo by 球場巡礼

 いかにもたまにファームの公式戦をやりそうな公営のスモールスタジアム。開場してだいぶ経つようだが外壁だけはキチンと真っ白に塗り直してあった。ネット裏のグランドスタンドは全てベンチシートで、ご覧の通り屋根もなく夏場の観戦はかなりツライ。それ以外の席は座席のないコンクリ打ちっ放しのひな壇席(何故か最上段にだけベンチシートが設えてある)。個性のない球場ではあるが、コンクリひな壇席(内野自由席)はバックネット裏スタンドより一段下になっており、フィールドやブルペンが選手と同じ目線で見られるのがうれしい。
 現在の横浜DeNAがかつては下関をフランチャイズにしていたため、親会社がDeNAになる前は山口県内で主催試合が組まれる事が多かった。特に00年代前半は夏場にファームが下関・宇部・防府などをサーキットするのが恒例となっていた。私が見たゲームではわざわざ遠征に帯同してきた湘南シーレックスのマスコット「レック」が、あろう事かダンディ坂野の「ゲッツ体操」を披露して夏なのにスタンドをキンキンに冷やしていた…。今考えるとファームの地方遠征は牧歌的でいかにも地方巡業なゆるい雰囲気に包まれていた。
 両翼92m、中堅120m。両翼がかなり狭い。フィールドは天然芝でナイター設備はない。外野は全て芝生席。
行き方:JR山陽本線「防府(ほうふ)」駅から防長バス「中浦行き」で約15分、「スポーツセンター入口」下車。バス停からは球場はおろかスポーツセンターらしきものは全く見えないので一瞬戸惑うが、ちょい先の交差点まで出れば左手に見える。防府駅前にはバス乗り場が2カ所あり、「中浦行き」が出ているのは「みなとぐち(南口)」の方。本数は1時間に1〜2本程度。運賃は片道270円。(03年07月現在)
観戦したゲーム(1):
2003.07.26 イースタン公式戦 湘南−読売

米子市民球場(どらドラパーク米子市民球場)
所在地:鳥取県米子市
開場:1990年
収容人数:16,000人

Photo by 球場巡礼

 山陰地方では唯一公式戦が開催できる本格的なスタジアム。新しい球場にしては両翼が狭いが、グレード的には十分1軍レベルだと思われる。カープが毎年ではないがレギュラー・シーズンを数試合行うほか、以前はオリックスも公式戦を行っていた。ウエスタンの試合もたまに行われる。
 両翼92m、中堅120m。フィールドは天然芝でナイター設備あり。外野は全て芝生席。地方球場の宿命か、内野席のチケットがかなり高価なので安い外野席から先に埋まっていく。
行き方:JR山陰本線「東山公園」駅下車、スグ。東山公園駅は米子駅から東へ1駅。ゲームのある日は試合前も試合終了後も臨時列車が頻繁に出る。が、東山公園駅自体がちっこいので帰りはかなり混む。
観戦したゲーム(1):
2001.09.09 セントラル公式戦 広島−阪神